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解説系YouTuberが思いついたことを書きます

シリコンバレー滞在60日で分かった20のこと

このブログは、僕がこれまでWebサービスをいくつか作ってきて、失敗したり成功したり色々体験していることをまとめています。

シリコンバレーに来てあっというまに60日が経ってしまいました。今回は、以前書いた「シリコンバレー滞在30日で分かった15のこと」の続きを書いてみたいと思います。

 

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1. 飲み会の回数が激減した

日本にいたときは365日のうち300日以上は飲み会続きだった僕ですが、こちらに来てから日本的な"飲み会"に誘われたのは60日間いて数回だけ。おかげさまで、二日酔いで次の日を半日潰すようなこともなくなりました。体の調子もすこぶる良く、お腹まわりもスッキリして、とても健康な生活を送っている気がします。

「みんなお酒は飲まないの?」と言われるとそうではなく、金曜日の夕方はバーやレストランのオープンテラスで、大ジョッキの3倍くらいあるデカジョッキでビールをがぶ飲みしている人たちがたくさんいます。

休日にはホームパーティやBBQは頻繁に行われてます。若い人たちの間では、"ビアポン"なる一気飲みゲームが異常に盛り上がったりします。日本の山手線ゲームの海外版と言えば伝わるでしょうか。いわゆるノミニケーションで仕事を進めていくような文化ではない、というところが日本とは大きく違うところです。その代わりにランチミーティングは大事な商談の時間にあてている人が多いようです。平日の夜は家族の時間を最優先にしている点は見習うべきことが多いと思いました。

 

2. ウォシュレットがない世界

地味にキツイのがこれ。こちらにきて60日間、ウォシュレットのない生活になんとか耐えている、というのが正直なところです。ウォシュレットは一度体験すると戻れない体になっていまう麻薬みたいなもの。海外旅行に行くといつも思うのですが、誰かウォシュレットの良さを世界中に広めてくれる志の大きな人はいないでしょうか。

ちなみに、諸外国と変わらず、トイレの作りは日本と比べると笑ってしまうほど粗いです。なんとなくシリコンバレーは違うんじゃないかという妄想があったのですが、見事に打ち砕かれました。個室と個室をさえぎる壁に大きな隙間があって、覗こうと思えば普通に覗けてしまうくらい空いていたりします。便座が左右どちらかにズレていたり、水を流す取っ手が壊れてたりすることは日常茶飯事。男性用の壁備え付けのものが、異常なくらい高い位置にあったり(日本人の身長だとキツイ)、水の跳ね返りが激しい作りになってたり。高級レストランでも例外ではなく、「そんなのを気にするのはジャパニーズだけ。細けーことはいいんだよ」という声が聞こえてきそうです。車椅子の障害者が入れるようにするために、スペースが非常に広い作りになっているのと比べると、とてもギャップを感じます。

あと、豆知識としてマックやスタバのトイレにはキーロックが掛かっている場合があります。店員に暗証番号を聞かないと入れない場合があり、僕のように堤防の崩壊寸前まで行く九死に一生体験をすることもあるので、十分ご注意を。

 

3. ワイン好きにはたまらないナパ・バレー

シリコンバレーから北に車で3時間ほどの位置にあるナパ・バレーは、ワインの名産地として非常に有名です。のどかな田園風景をひたすら走ると見えてくる大農園。オーパス・ワンやモンダビなど有名ワインが格安で試飲でき、人気店は予約が必要なほど。ほどよい距離にあるので、週末のお出かけスポットとして、訪れる人はとても多いです。冒頭の写真はオーパス・ワンのワイナリーを正面から撮ったものです。

 

4. 生活に欠かせない大型店舗たち

日本にも進出して久しいCostco、IKEAといった超大型店舗がシリコンバレー周辺に点在していています。あまりに広く、天井も高いので、普通の2倍はあるであろう買い物カートにちょっとしか商品をいれていないと逆に恥ずかしくて、大量に買い込んだり、絶対に冷蔵庫に入りきらないサイズの大きなピザを買ってしまったり、「でかいことは素晴らしい」という開放感とともに、ザ・アメリカンな買い物体験ができます。

日本のコンビニにあたるのが、24時間営業のスーパー「Safeway」。主要な町ならどこにでも店舗があります。日本で広いと思うスーパーの2倍はある大きさで、基本、ここに行けばなんでも揃います。個人的には、もうSafewayなしでは生活ができないというくらい便利です。それでいて、ビール1本100円しなかったり、ミネラルウォーターが36本で300円くらいだったり、なんだか色々と金銭感覚がくずれてしまいます。Safewayカードを作ると20%前後オフになるので、普段こういうカードは作ってもほとんど活用しない僕ですが、さすがにカードを作って超活用しています。個人的にはスーパーなのに無料Wifiが飛んでいるところが素敵だと思ったりします。

ちなみに、その他の大型店舗でいうと、日用品は日本の西友的なTarget、ドラッグストアはマツキヨの巨大版のCVSがチェーン店として強いです。

 

5. 日本とはまったく違う不動産事情

僕が滞在しているマウンテンビューは、Googleやマイクロソフト、NASAも近くにあり、気候も安定していて、治安も良いので、総じて家賃相場が高くなっています。庶民的なアパートでもプール付きが普通で、家賃は2ベッドルーム(日本で言う2LDKに2つバスがついているイメージ)で2500ドル(約20万円)です。緑が多い郊外なのに、東京23区と比べても遜色ない金額です。日本人からすると、まだ円高なので多少マシですが、お金がない学生や働き始めの若い人たちはシェアハウスにするのが一般的です。

しかし、家をひとつ借りるのも一筋縄ではいきません。米国籍でない人が短期で借りようとすると、過去6ヶ月分の収入証明を提出させられたり(しかも海外の銀行口座で日本の銀行口座はNGなど)、家賃を全額キャッシュで前払するといっても断られたり、不動産屋との"契約"にはタフな交渉を求められます。

 

6. マックよりIN-N-OUT BURGERの人気がスゴイ

こちらに来て初めて知ったのですが、無添加で新鮮な野菜にジューシーなお肉がウリのハンバーガーショップ、「IN-N-OUT BURGER」がとても人気があり美味しいです。数回足を運んでいるのですが、何より驚くのは、ハンバーガーショップに夜22時でも行列ができてしまうこちらの食生活。ハンバーガーはまだ良いとして、ポテトは夜食べるととてもモタれそうですが、学生から家族連れまで常に賑わってます。黄色と赤い看板は一瞬マクドナルドを連想させますが、日本では存在感のあるマクドナルドやバーガーキングは、そこまでの勢いを感じないのと、なぜか店舗自体もあまり見かけないです。

 

7. 日本とは違う生活文化

数ドルほどのちょっとした買い物でもクレジットカードで支払うのが当たり前の文化なので、僕のように日本でいつも現金で支払うことに慣れている人は、最初、戸惑うことが多いかもしれません。最近ではクレジットカードで支払うことに慣れてきて、ほとんど現金を持っていなくても生活できることは良いと思うようになりました。ただ、なぜかガソリンスタンドだけは日本のクレジットカードではほぼ払えないのと、すべてセルフスタンドなので、毎回お店の人にお願いして、お金をチャージすることになります。深夜でお店の人がいない場合は、チャージができないので、ガソリンの残り残量は十分ケアが必要です。

 

8. 消費税とチップとアルバイト

消費税は現在8.25%(けっこう変動する)で、飲食店ではチップも15%前後を支払います。チップについてはなるほどな、と思うことがありました。現地で人気のラーメン屋でアルバイトをしている方に聞いたら、時給は700円以下と日本と比べても低い水準ですが、給料にチップが加わるので、ランチタイムに1日出勤するとチップだけで4000円〜5000円前後になるそうで、トータルでは悪くない時給になるんだとか。混雑する人気店にはチップが多くなり、いいアルバイトが集まりやすいので、忙しいほど時給があがる仕組みというのは、理にかなっているとおもいます。

 

9. モバイルWifi環境はやっぱり便利

僕が滞在しているマウンテンビューは、Google本社があり無料で使えるGoogle Wifiがそこら中に飛んでいるのと、カフェは基本的に無料でWifi環境が揃っているので、日本のようにモバイル端末を持つ必要はないかな、と思っていました。しかし、Google Wifiはわりと気まぐれで、繋がらないことのほうが多かったりするので、いざというときに不便だと感じるようになりました。

モバイルWifiはいくつか種類があるのですが、(速度は遅いですが)無制限プランだとVargin MobileのMifiがよさそうです。本体価格は約100ドルで、無制限プランで毎月50ドル支払えば使い放題です。とはいえ、購入すればすんなり利用できないところがアメリカぽいところで、まず海外のクレジットカードが必要(スーパーなどでギフト用のクレジットカードを購入すればOK)、説明書に書いている登録の手続きのURLだとアクセスできず、IPを直打ちする必要があったり(普通の人は登録できないんじゃないかと思われる)、最後にアクティベーションをする時に課金サーバーが止まっていてリトライをさせられたり、利用するまでには色々と厄介なトラップがあったりします。

 

10. 病気にはなってはいけない

医療費全般に掛かる費用は、日本の感覚でいると、とんでもなく高くつきます。 例えば、保険なしで歯医者に行くと、数万円〜十数万円掛かってしまいます。僕の場合、シリコンバレーについてまもなくテンションが上がってしまい、なぜか普段食べないハイチューを噛んでいたら、数年ぶりに詰め物が取れてしまうアクシデントがありました。しばらく粘っていたのですが、さすがに放置するわけにもいかず、歯医者に行ったところ、仮のセメントで固めてもらうのに2万円以上かかりました。普通に治療すると10万円前後かかるそうです。※保険に入っていれば日本に戻った時に還付されます

もっと深刻なのは救急車。トラブルに巻き込まれて下手に救急車を呼ばれてしまうと、たった1回で数十万円〜数百万円の費用がかかってしまうので下手すると、わけのわからない借金を背負う可能性すらあります。見るからにお金がなさそうに判断された場合は、病院から放り出されるという話も聞きました。そういったところは日本にはない怖さかもしれません。

こちらの生活が長い人からのアドバイスでは、大きな病気を患ったら、航空チケットを取って日本や別の国で治療したほうがまだいいのと、こちらで暮らすなら、生活に気をつけて、病気にならないように生活するべし、とのことです。

 

11. やっぱり厳しい駐車違反

前回も書きましたが駐車違反については本当に厳しいです。すでに3回ほど切符をきられています。これでも少ないほうだそうですが、日本でも駐車違反で捕まったことがないのに、初めてレッカー移動されるという貴重な体験もしました。いまのところ、「まあ、ちょっとなら大丈夫だろう」的な考えでいるときに確実に違反になっているので、素直に公共の駐車場にとめることを心がけるようになりました。

 

12. A4用紙サイズが存在しない

これも現地に来てから知ったのですが、プリントアウトするときの用紙のサイズでA4、B5などはアメリカでは存在しないです。A4に近いサイズでレターサイズというのがあり、若干、横幅が広いので、日本から持ってきたクリアファイルだと非常に収まりが悪く、真ん中が湾曲してしまいます。なんとなく僕の勝手な常識として、A4、B5は世界標準だと決めつけていたので、初めて知ったときは軽いカルチャーショックを受けました。

 

13. お肌は日本人の圧倒的な勝利

食生活と日差しの影響が多いせいなのか、こちらの方(特に女性)は日本人に比べるとお肌が荒れてしまっている人が多いように思います。日本人はケアもしっかりしているし、若く見えるし、世界中でモテる理由が分かった気がします。実際、こちらで知り合った外国人で日本人の奥さんの人がたくさんいます。

 

14. ここに住んでいる人は何かを持っている

シリコンバレーに来てから、今日まで100人以上の方とお会いしていますが、高度な専門性だったり、(良い意味で)変わった経歴をもっていたり、出身国ですごい実績があったり、とてつもなく若いのにハイクオリティのデザインやシステムが作れたり、頭の回転が良すぎて異常に早口で喋る人がいたり、話すことが好きすぎて8時間近く会話が止まらなかったり、どこにいてもわが道を行くコーディングし続ける人がいたり。アクが強いし、日本だったら浮いてしまうだろうなという人たちが多すぎるのです。一芸に秀でた人たちが集まる"IT業界のメジャーリーグ"という表現がしっくりきます。日本にいる時以上に、なにか武器を手に入れないと、ここでは生き残れないなと実感しています。

 

15. モノづくりできる人が強い

これはシリコンバレーに限らない話ですが、Webサービスやアプリのスタートアップは、とにもかくにも、まずはプロダクトを作れる人が絶対に必要です。特に資金もない初期は、2〜3人の少人数でプロダクトを作りこむとなると、全員が何かしらモノづくりができるチーム編成が望ましいわけです。さらに、エンジニアはプログラミングだけしていればいいというわけでもなく、マーケティングに営業、サイト運営やカスタマーサポート、出資関連、契約関連、人事など、およそ会社経営にまつわるすべてのことを、少人数で切り盛りしていくマルチな活躍が求められています。エンジニアであってもコミュニケーション能力の高さも重要な要素に感じます。

 

16. リーンスタートアップな考え方が浸透している

先ごろ、エリック・リースによる「リーンスタートアップ」の日本語版が出版されたということで、ようやく日本でも浸透しはじめているリーンスタートアップの概念ですが、シリコンバレーではすでに幅広く浸透していて、プロダクトに関するアドバイスは、ほとんどリーンスタートアップに基づく実践的なものが多いと感じます。書籍を読むと分かるのですが、自分たちのプロダクトの場合にリーンスタートアップを当てはめるとしたら、具体的にどうすればいいか、という部分はわりと曖昧にされています。受け取り方によっては色々な解釈ができてしまうので、実際にリーンスタートアップを実践してきて成功を収めているような人からのアドバイスというのは、今後貴重になってくると思います。

 

17. 最先端のデザインが生まれる土壌

シリコンバレー発のサービスと日本国内のサービスで何が一番違うのかと聞かれたら、僕は「デザインとUI/UX」と答えます。こちらに来て、どうしてそこまで差があるのかをずっと考えています。

いくつか要因が思い浮かぶのですが、一番の理由はデザイナー同士のネットワーク、情報共有の差なのだと思います。 世界中で利用されているようなWebサービスやアプリの実績があるデザイナーたちの数百人規模のグループがあり、密に情報共有されているのです。最近聞いた話では、デザインが美しいことで有名な某サービスがまた新たなデザインとUI/UXを制作中で、それが完成すると、また別次元の美しいWebサービスが乱立するのではという話を聞きました。こうした情報が、新バージョンの公開前に情報共有されていて、それをグループ内で見知った別サービスのデザイナーが自サイトに取り入れたりと切磋琢磨できる環境があります。日本にその情報が伝わるのは、新バージョンが出てから。仮に、そこから制作に入ると、どうしても数ヶ月は遅れてしまいます。

グローバルで成功しているデザイナーの絶対的な人数の差も大きい気がします。

 

18. ネットワーキングが想像以上に重要

ネットワーキング(=人脈作り)というとなんだか胡散臭いイメージがあり、日本だとネガティブワードに入りそうな勢いですが、シリコンバレーのスタートアップでは、ネットワーキングの重要性について、当たり前のようにアドバイスされるようです。エンジェルやVC、あるいはメンターやアドバイザーになるような人たちは、誰かの紹介でしか会わない/会えない人が多すぎるので、結果的に人脈がなければ、なにも始まらないという事実がはっきりと存在します。お互いにムダな時間を過ごさないために、とても合理的な仕組みになっていると思います。

ファンディングもそうですが、プロダクトを世の中に広めていくフェーズでは、プロダクトの中身のほかに、どんな投資家やVCが入っているか、あるいはメンターやアドバイザーが誰なのかによって、業界人たちの見る目が変わってくる印象があります。わかりやすいところでは、セレブから出資を受けるケースは、そうした効果を狙っているのだなということが分かってきました。

 

19. メンター/アドバイザーの存在

シリコンバレーでは、スタートアップ周りの仕組みがきっちり整備されていて、ファンディングからエグジットまでの綺麗なエコシステムが完成しています。スタートアップがどのポジションにあっても、メンターやアドバイザーなどの外部の協力者を通じて、そのスタートアップにいま必要な人、モノ、金、が集まる環境が整っています。「これこれこういうことに困っているんだけど」「じゃあ、オレの知り合いで一番詳しい◯◯を紹介する」というような問題解決をスムースに行うためのお膳立てがしっかりと用意されているという印象があります。

 

20. 圧倒的なスピード感と決断力

日本では打ち合わせというと、1時間のアポイントが通常だと思います。打ち合わせが始まっても、本題に入る前に雑談から話をしたりしますが、現地の話を聞くと、15分や30分単位のクイックなミーティングを指定してくる場合も多いそうです。今後の会社の方針に関わるような大きな決断も、「今その場で決めて」というくらいのスピード感で決断を迫られることもあるそうで、「時間」が一番貴重で大事なものであることを改めて実感させられます。

プロダクトの開発の速度も同じようにスピードを求められます。とにかくカタチにすること。カタチにしたらユーザーに直接インタビューして、問題点を洗い出すこと。問題点を改善し、またカタチにすること。こうした一連の流れを高速で繰り返すことで、ハイクオリティのプロダクトを素早く完成させていくのです。

こうして、世界中から熱い志を持ったハイレベルの人たちが集まり、日夜、切磋琢磨していると思うと、僕も心の中に熱いものを感じざるを得ません。このブログを読んで同じ気持ちになった人は、ぜひ一度シリコンバレーに訪れることをオススメします。

 

 

 

修行したい学生さん募集中

会社名のメーヴェはドイツ語でカモメのこと。僕らは渡り鳥のように世界のどこにいても仕事が行えるスタイルを目指しています。いまいくつかの企画が進行中で、これから海外の人たちと一緒にWebサービスやアプリケーションを作っていこうと思っています。もし僕らと一緒に働くことで修行したい学生の方がいたら、hajimeataka[a]gmail.com までプロフィールをお送りください。英語やプログラミングスキルがある方を優先しますが、なにより”やる気”がある方を最優先します。