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パパパパ

インターネットは僕の嫁。Webサービスについて色々書いていきます。

シリコンバレーで学んだWebサービスを成功に導く10の原則

 

シリコンバレーに来て80日が経ちました。僕がシリコンバレーに来た理由の一つは、世界中で使われるようなWebサービスがどうやって成功を収めたのか、ということを見聞したかったからです。滞在中に現地で活躍している人たちとコンタクトを取って、100名以上の方から様々な答えやヒントをもらってきました(元Pinterestデザイナーで現Gumroadのサヒル、「AJAX」という言葉を作ったGmailデザイナー、GoogleAdwordsのプロジェクトマネージャーなど)。今回のエントリーは、僕が約3カ月の滞在期間中にシリコンバレーで聞いた話を元に、タイトルにある「シリコンバレーで学んだWebサービスを成功に導く10の原則」を余すとこなく書き切りたいと思います。

 

気合を入れて書いた分、ものすごく長文になってしまったので、時間があるときに読まれることをオススメします。 

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Webサービスの成功は、多くのユーザーを集めることだとすると、世界的に成功したWebサービスがどのようなプロモーションをしてユーザーを集めていたか、というのはとても気になります。最初に、Webサービスのプロモーションについて、僕なりに腑に落ちる理解があったので、それを記していこうと思います。

そもそもプロモーションとはなんでしょうか。プロモーションで一番わかりやすい例は、「テレビCM」だと思います。企業はテレビCMで新製品のイメージや素晴らしさを消費者に伝えて販売します。ユーザーは新製品が発売されたことを認知して、気に入れば購入します。プロモーションとはユーザーに製品を伝えるための”宣伝”であり、製品そのものではないのですね。テレビCMがいくら素晴らしくて、かつ大量に放映されたとしても、製品がしょぼければ、一時的にブームを作るだけでユーザーは離れていってしまいます。この原則はWebサービスにもそのまま当てはまります。世界的に成功したWebサービスでも、この原則にしたがって、素晴らしいプロダクトがあってこそ、はじめて効果的なプロモーションを打って出られるのだと思います。

 

スタートアップのプロダクトを「バケツ」、ユーザーを「水」に例えると、プロモーション(宣伝)とプロダクト(製品)を概念的に理解しやすいと思います(基本コンセプトは「リーンスタートアップ」参照)。Webサービスに人を集め成長させていくことを、バケツに水を溜めていくイメージで想像してください。通常であれば、水は自然と溜まっていきますが、スタートアップが作ったバケツは、さまざまな課題があり、まだまだ未完成の状態。いってみれば、”穴が空いているバケツ”が多いのです。穴が空いたバケツに、プロモーションを仕掛けて大量の水を流しこんでも、水は溜まってはいかないのです。トラフィックを集めるためのプロモーションにはたいていお金が掛かるので、かけたコストが無駄になってしまいます。プロモーションは”バケツに水が溜まる状態”になってから行うべきものなのですね。

 

では、バケツに水を溜める方法とはなんでしょうか。これはWebサービスごとに違いますし、根本的な設計、機能など、サービスの深い部分に関わりますが、どんなWebサービスにも共通していえるのは、「優れたユーザー体験」だと思います。

 

バケツにちゃんと水が溜まっていく状態、つまりユーザーがそのWebサービスを気に入って、何度もアクセスしてくれる状態になるのは、そのサイトでしか体験できない”何か”が必要です。SNSでは友だちと交流ができるし、オークションではモノの売買ができるし、ECではお目当ての商品が変えます。ハウツーサイトやQ&Aサイトでは疑問が解決するし、掲示板やイラストサイトや動画サイトは投稿するのも見るのも楽しいから人が集まります。ブログやニュースメディアも投稿される内容が面白かったり、仕事に役に立ったりするから、ユーザーにとって欠かせないものになります。

 

成功しているWebサービスは他にはない優れたユーザー体験があるから、ユーザーとの特別なエンゲージが生まれ、多くのアクセスが集まります。では、優れたユーザー体験とは何なのか。ここから、僕がシリコンバレーで学んだ10の原則を書いていきたいと思います。

 

 

1. コンテンツの質

コンテンツの質は最重要のファクターです。ここでいう”質”とは、単に綺麗であったり、美しくあることだけではありません。腹を抱えて笑えるもの、ビックリするもの、泣けるものなど様々で、ターゲットとしているユーザーの心に刺さるもの、大きく感情を揺さぶるかどうかが、質が良いか悪いかを決める価値基準になります。人の感情を揺さぶるものは総じてコンテンツの質が高いと言えます。人の感情を動かすものこそ、優れたユーザー体験の源です。

 

なぜ、コンテンツが重要かというと、投稿されるコンテンツが、”バケツ”そのものだからです。ユーザーがコンテンツを作り出すCGM(コンシューマ・ジェネレート・コンテンツ)にしても、ブログやニュースサイトなどのメディアにしても、投稿内容がそのサイトの核となるものです。もし、コンテンツがユーザーの心に刺さらないものであれば、バケツがないのと同じです。仮にプロモーションが成功して、人がたくさんきても、水を溜めるものが存在しないので、ユーザーはどこかにいってしまいます。

 

FacebookやTwitterなどがインフラ化した今では、友だちにコンテンツを共有することがボタンひとつで気軽に行えるようになりました。”質”の高いコンテンツであれば、インターネットを介して、一夜にして世界中に広まることも日常茶飯事で起こります。コンテンツ自体でバイラルを引き起こせたら、こうしたソーシャルメディアを通じて、多くのユーザーがアクセスしてきて、次のコンテンツにも期待してくれるようになり、アクティブユーザーに変わる可能性があります。

 

Youtubeのケースを考えてみましょう。Youtubeにとってコンテンツとはユーザーから投稿される”動画”です。しかし、Youtubeといえども、動画がなければ、動画を再生できる箱(プラットフォーム)があるだけで、中身は空っぽの状態。Youtubeが素晴らしいシステムや機能を持っていたとしても、ユーザーの心を掴まない動画しかなかったら、ユーザーがYoutubeに再び訪れることはないでしょう。ユーザーはYoutubeだからというよりもコンテンツである動画そのものを見に来るのです。

 

Youtubeが世界的規模で成功を収めているのは、感動的で泣ける動画や衝撃的な映像が収められた動画など、世界中から高品質の動画がどんどんアップロードされる仕組みを作り上げたからです。いまでは、ひとつの動画で数百万回再生されるものも珍しくありません。

 

Youtubeが成功を収めた要因のひとつに、外部のブログやサイトなどに、かんたんに動画プレイヤーを設置できるYoutubeのエンベッド機能があると思います。いまでは、ほかの動画サイトに当たり前のようにありますが、Youtubeはいちはやくこの機能を実装して、誰でも簡単に使えるようにしたことで、閲覧される回数が増え、それに魅力を感じた投稿者が増え、結果的にハイクオリティのコンテンツが集まるようになりました。いかに良質のコンテンツを集めるかという視点で眺めてみると、こうしたコンテンツを集めるための仕掛け、機能が優れていることも大事で、コンテンツの質を保つための機能や施策もセットで考える必要があります。

 

 

2. デザイン性

優れたユーザー体験にはデザイン性が欠かせません。一般人にとって「見た目」はもっとも重要な価値を持つものです。そのサービスがどんなに便利でも、デザインがイケてないサービスはユーザーには受け入れられません。

 

ひとくちにデザインといっても、ユーザーの属性ごとに、イケている、イケていないの価値基準は変わってきます。低年齢層向けのサービスであれば、わかりやすく楽しげなデザイン、女性向けであれば、女性が好む色やフォントを使うなどは基本的なことで、もっとユーザーの属性を絞ると、ボタンひとつを配置するにしてもまったく違ったものになるはずです。もし、ユーザーがコンテンツを共有したいと思ったときに、「こんなダサいサイトを紹介していると恥ずかしい」と思ってしまうとしたら、それはそのサイトのデザインがユーザーに合ってないということです。逆に「私はこんなクールなサイトを知っているんだよ」と、ユーザー自身が誇れるような高いデザイン性を持つサービスであれば、共有される率が高まり、バイラルが起きやすくなるでしょう。

 

操作方法でユーザーを迷わせないこともデザインの一部です。シリコンバレーに来てよく聞くのは、「そのページでユーザーに何をさせたいのか?」という質問。先のYoutubeでいえば、ユーザーにまず動画を再生させたいのか、Likeボタンを押させたいのか、あるいは友だちに共有して欲しいのかによって、動画やボタンの位置が変わってきます。

 

デザインとはまさにバケツの”カタチ”を作り出すものと考えられます。カタチがいびつだと、水の入れ方もスムーズにいかないし、穴をふさぐ難易度も上がってしまいます。

 

 

 

3. ページ表示が高速であること

ページ表示の早さは、見落としがちであるけれど、優れたユーザー体験を生み出す重要なファクターです。人は、普段使いするものであればあるほど、高速に動作するほうを直感的に選択します。

 

コンテンツの質も高く、素晴らしい機能やデザイン性を持っていても、ページ表示が遅かったり、たびたびアクセスが遮断されるようなWebサービスは、ユーザーを集めることができません。例えてみれば、水が入ってくる"バケツ"にフタをされてしまったようなものです。水を入れるには、十分にバケツのフタを開けておく必要があります。

 

プロダクトが一通り完成して、ユーザーが集まってくると、たいていどのWebサービスでも、このページ表示が遅くなる問題に直面します。これを解決するのはエンジニアの技術とサーバーコスト(お金)です。ページ表示が遅くてユーザーにイライラさせてしまうと、それ以外の素晴らしい長所を台無しにしてしまうし、二度とサービスを使ってくれなくなる可能性すらあります。ページ表示の理想は1秒以内、遅くとも2秒以内で表示されるように最大の努力をするべきと思います。

 

機能を追加すると、ページ表示が遅くなるのは、Webサービスの運営でよく起こり得ることです。機能を追加したおかげで一時的にユーザー数が増えたり、アクティブ率が増えたとしても、もしページ表示が遅くなってしまえば、そうした効果はプラスマイナスゼロになってしまったり、さもすればマイナス効果の可能性すらあります。ページの表示速度を犠牲にしてまで、新しい機能を追加をするのは本末転倒です。

 

Webサービスではありませんが、高速ブラウザで一気にシェアを伸ばしてきたGoogleChromeでは、開発時の決め事として、前のバージョンより起動時間やブラウジングが遅くなる機能追加ができない仕組みにしています。Amazonでページ表示が0.1秒早くなると売上が1%上がる話は有名です。

 

ページが重くなる原因として、ユーザーが一気にサイトに押しかけてきて、サーバーが耐えられないということも、ままあります。もしユーザーが一気に集まりそうであれば、サーバーの台数も想定の10倍以上に増やしておいたり、アクセスが一気に集まりすぎないように、地域限定で公開していくとか、時間帯をあえて人が集まらない時間に公開するとか、あるいはあえて新規会員登録をできなくするなど、プロモーション側で調整すると良いでしょう。

 

 

4. 適度な更新頻度を保つ

どんなに素晴らしいコンテンツが揃っていても、いつまでも古いコンテンツしか提供されないなら、優れたユーザー体験はいつかは損なわれてしまいます。

 

ユーザーを頻繁にサービスに誘導するためには、適度な更新頻度を保って、新しいコンテンツを更新していくことが大事です。”消費者”という言葉の通り、ユーザーはコンテンツを消費していきます。どんな面白い動画でも、何度も見ていたら飽きてしまうのと同じで、コンテンツは常に消費されるという事実は変えようがありません。お笑い芸人のどんなに面白い一発ギャグも、一定の期間で使い古されて飽きられていくサイクルをイメージすると、”コンテンツは消費される”ということがより鮮明になると思います。

 

コンテンツが消費されると、ユーザーは次の新しいコンテンツを求めます。Webサービスでも、ユーザーが常にフレッシュなコンテンツに触れられるように仕掛けをしたり、見せ方を工夫することが大事です。コンテンツがきちんと提供されることがユーザーが認識すれば、サイトの常連になってくれて、頻繁にサイトに訪れてくれるようになります。

 

ユーザーにベストな更新頻度でコンテンツを提供しているサービスとして、僕が真っ先に思い浮かぶのはYahoo!ニュース(Yahoo!のトップページ)です。絶妙なタイミングでニュースが更新されていく、トップページのあの部分だけを見るためだけに、頻繁にサイトに訪れる仕組みになっているのは、見事というほかありません。コンテンツの質を保ちつつ、最適なタイミングで更新されるようなサービスは、ユーザーにある種の中毒性をもたらして、Webサービス成功のひとつの要因となります。

 

 

5. ユーザー間のコミュニケーションを促進する

ユーザーは友だちや共通の趣味を持つ人たちとサイト上で交流することで、その人だけの特別なユーザー体験を味わうことができます。昨今のソーシャルブームはすべてユーザー間のコミュニケーション要素を取り入れたサービス作りが根幹にあります。

 

サイト上での友だちとの交流のしかたはいくつかパターンがあります。友だちからあなた宛に届く一つのメッセージは、何気ない機能ですが、実は特別なユーザー体験をもたらします。そのメッセージはあなただけに宛てられたものだからです。親しい人、尊敬する人からメッセージが届けば、メッセージを確認して返信するアクションはとても自然です。このアクションをサイト上で行なってもらうようにすれば、ユーザーがサイトに訪れる機会が頻繁に増えます。一気にユーザー数を伸ばした「LINE」は、まさにそんなコミュニケーションを促進するツールとして、ユーザーとのエンゲージを高めています。

 

ユーザー同士のコミュニケーションといえば、やはりFacebookがお手本になると思います。友だち同士で繋がるフレンド機能、自分のステータスを友だちに伝えるフィード機能、メッセージ機能やチャット機能、複数人のユーザー同士で交流するグループ機能など、およそユーザー間で行われるコミュニケーションをすべて網羅しています。特に秀逸なのは、フィードとLikeの関係。ユーザーが投稿するモチベーションを保つには、他ユーザーからのリアクションやフィードバックが不可欠ですが、コメントに対してのフィードバックをボタンひとつで返せる仕組み(LINEのスタンプにも共通する)は、より気軽なコミュニケーションを生み出しています。しかもLikeという良い意味の感情表現で評価されることで、ユーザー同士が親密になり、それが行われる舞台=Facebookへのエンゲージが高まる仕組みを、見事に実現しているのです。

 

ユーザーも人間なので、自己顕示欲や自己満足を満たすためのランキングは、一部のユーザーにとって効果的に機能します。人に見せるために動画を作ったら、たくさんの人に動画を見てもらいたいですし、みんなが作った動画の中で評価され、ランキングで上位をとったら、投稿したユーザーの満足度が高まり次の投稿やサイトを訪れるモチベーションになります。

 

 

6. 必須機能を確立する

インドネシアでは、Facebookが爆発的に成長し、実に人口の95%以上がFacebookを利用しているといわれています。これにはからくりがあって、インドネシアでは日本でいうDocomoやAUなどの携帯キャリアが、ユーザー同士のメール/メッセージ機能をFacebookメッセージで代用するプランを推奨する特殊な環境下にあります。友だちとメッセージのやり取りをするには、Facebookアカウントの登録が必要なのです。インドネシアの国民にとって、Facebookはまさになくてはならない機能を提供してくれていることになります。携帯キャリアからすれば、インフラをFacebookに”タダ乗り”でき、大幅なコスト削減になるので、こうした提携が成り立つのですね。

 

そのサービスにしかない価値をユーザーにもたらすことで、唯一無二のユーザー体験を提供できるようになります。

 

あらゆるニーズに応えるように、星の数ほどWebサービスが生まれている状況なので、インフラになるような必須の機能はなかなか見いだせないかもしれません。ただ、新しく勃興したジャンル、ニッチジャンルであれば、これからもずっと可能性があるはずです。かつて、僕が趣味で運営していた、とあるオンラインゲームのサービスは、ゲーム内のアイテムの相場価格の平均価格が一覧で見られる機能がありました。ゲーム内では平均価格はおろか一覧で見られる機能がなかったため、ゲームを遊んでいる人にとって必須の機能でした。こうしたサービスは欠かせないインフラサービスとして機能します。

 

 

7. アクティブユーザーが多いこと

人が集まるところには、もっと人が集まるという法則があります。はじめたばかりのWebサービスにとっては、そもそもユーザーがいないので、鶏と卵の関係になるのですが、ディープなユーザーを獲得できれば、彼らが周りの友だちや知り合いを巻き込んで、新しいユーザーをどんどん連れてきてくれる可能性があります。

 

特にユーザーがコンテンツを作り出すCGMは、ユーザーの数が最大の武器になります。みんながYoutubeに動画をアップロードするのは、閑散としているサービスより、もうすでに人が集まっているYoutubeで動画をアップロードしたほうが、多くの人に見られるからです。デザインが優れていたり、使いやすだけでなく、ユーザーが集まっていれば、それだけでそのサービスの価値が高まり、コンテンツが集まりやすくなります。リアルに置き換えると、駅前の路上ライブのようなものです。大勢の人に見てもらいたい、デビューを目指しているパフォーマーにとって、人通りがたくさんある駅前は、ライブパフォーマンスを行うに最良の場所です。自分のパフォーマンスをたくさんの人に見てもらえる、もしかしたらデビューもできるかもしれない、という期待感でパフォーマーが集まります。人通りがある駅前を無料で使えるのに、わざわざ人通りのない道端でパフォーマンスをする人はいないのです。

 

サイトに影響力がでてくると、リアルな社会、学校や会社などで共通の話題になるため、「みんなが見ているから見る」というユーザーも一定数います。テレビで放映されるサッカー日本代表やAKB48の総選挙は、それ自体が秀逸なコンテンツであると同時に、みんなに共通の話題をもたらしてくれます。

 

ソーシャルゲームも「友だちがやってるから遊ぶ」をうまく具現化して、友だちといっしょに遊ぶことをゲーム内のメリットにして、友だち同士の連帯感をもたせ、ユーザー同士のエンゲージを高めることで、うまくゲームへ誘導しています。

 

 

8. ゲーミフィケーション

ゲーミフィケーションはユーザーの活動によってポイントが貯まったり、バッヂを獲得できたりするゲーム要素のことです。”バケツ”を彩る飾り付けのようなもので、楽しさを演出したり、一部のユーザーに中毒性をもたらすので、ユーザーのモチベーションを高めるのにとても有効です。ほとんどのサイトで取り入れているランキングや評価システムもその一種になるでしょう。ランキングがあればユーザー同士が競争し、サイトが活性化するし、ユーザーが他ユーザーから評価されたら、ポジティブな体験をもたらし、そのサービスをまた使ってみようと思わせてくれます。

 

ただ、ゲーミフィケーションに重きを置き過ぎると、プロダクトの本質を見失う可能性は否定できません。プロダクトが良いからユーザーが滞留しているのか、ゲーム目的でユーザーが滞留しているのかが、分からなってしまうからです。プロダクト自体でユーザーを惹きつけているのであれば、必ずしもゲーミフィケーションはなくても構わないのです。例えば、Googleで検索するたびにユーザーランクが上がっていって、アバターを着替えられたら楽しいかもしれないけど、ほんとうに必要な機能かと聞かれたら「?」です。かといって、Youtubeのランキング機能がもし無くなったら、一部の投稿者のモチベーションは下がってしまいますし、閲覧するユーザーも、どの動画が人気なのかが分からなくなってしまいます。そのサービスごとにどこまでゲーミフィケーションを取り入れるかのバランスが大事なのだと思います。

 

 

9. 技術・知識・情報を身につける

Webサービスやスタートアップにまつわるこの世界を、大胆にも”ユーザー集めのゲーム”と考えると、僕らはゲームのルールの中でユーザーの奪い合いをしていることになります。しかもこのゲームは、ころころルールが変わり、日に日に新しい知識や情報が求められるので、すべてに対応するのはほぼ不可能。自分たちに必要な技術や知識を選んで身につけたり、日々の情報収集が欠かせません。

 

先日のエントリーでも紹介したショーン・パーカーの最新プロダクト「Airtime」で、僕がまだ知らなかった”新しいルール”を発見しました。それは外部サイトでFacebookログインでチャット機能を使えてしまうというルールです。以前は確か使えなかったはずなのにと思いFacebookの開発者向けの公式サイトに飛んでみると、しっかり掲載されていました。これを活用すると、非常に効果的にバイラルを起こすキャンペーンを打つことが可能で、僕が知るかぎりまだ世間的には浸透していない情報だと思います。これはあくまでの一例ですが、Webサービスの世界はこうしたことが日常茶飯事で起こります。

 

こうした貴重な情報はネットよりもリアルのコミュニケーションを通じて情報が伝達しやすいので、真に役立つ「技術・知識・情報」を入手するなら、ネットを飛び出して、リアルな人との付き合いを通じて信頼関係を築き上げて、情報を手に入れる必要があります。これらはいわば”正しいバケツ”の作り方を習うようなものです。

 

Webサービスの運営でよくありがちなのは、とにかく機能をたくさんつけていけば、ユーザーが使ってくれるようになると思い込むことです。しかし、僕の経験上では、機能よりもコンテンツの質を上げていったほうが効果的な場合が多いのです。機能を追加するときには、直感に頼らず、ユーザーの動きやアクセス解析の数字を見ながら、仮説をひとつひとつ検証して、ノウハウを積み上げていく地道な作業が欠かせません。新しく機能を追加すると、仕事をした気になってしまいますが、それが効果があったのかの検証をしてみないと本当に成功に近づいているのかどうか分かりません。もし効果がなかったとしたら、その機能をつけた意味はないということになります。その機能が不要であるということが判明することは、それはそれでひとつのノウハウなので、意味のあることです。しかし、そもそも検証が行われていない場合は、成功に向かっているかどうかかわからない状態で進んでいるので見なおすべきでしょう。

 

 

10. 情熱を持ち続けること

Webサービスに限った話ではないですが、何かを成し遂げるには、みんなが目を丸くするようなひたむきな情熱で突き進むことで、いろんな困難を突破できるのだと、最近つくづく感じます。Webサービスは作って終わりではなくて、作ってからが真のスタートです。運営していくと、それは毎日のように問題やトラブルが発生して、誰しもが途中で投げ出したくなるときもやってきます。しかし、そこでめげない情熱がパワーになります。運営者も人間ですが、感情の浮き沈みをコントロールする情熱を絶やさないことも大事だと思います。そうした情熱はユーザーにも伝わるし、周りを巻き込む力になったり、突然、協力者が現れたりするものです。情熱には運も引き寄せる力があります。

 

情熱があれば、毎日の定期タスクでも、新しい試みをしたり、いつもより頑張ってみようかなという気になります。ほんのささいなことだけど、自分の努力によってユーザー体験がよりいいものになるなら頑張ってみよう、そんな気持ちにさせてくれます。ユーザーへの対応も、目標の数値も、メールをひとつ書くようなちょっとした作業も、すべて前向きに考えられます。そうしたひとつひとつの積み重ねが、のちのち大きな成果をもたらすのです。「本来はこうしたほうがいい」と頭ではわかっていても体が動かない、という場面にも直面します。そこでブレーキするのではなく、逆にアクセルを踏み込む力を湧きだしてくれるのが情熱です。

 

シリコンバレーでは数多くの人との出会いがありましたが、その中でも尊敬してやまない人が一人います。彼はGoogleでGoogleAdwordsプロジェクトを率いていた人で、会うたびにとめどない情熱で熱く語りかけてくれます。彼のプロダクトに対する情熱的な姿勢を見ていると、世界規模で使われるサービスを作り上げるにはこれほどまでの情熱が必要なのかと圧倒されました。最後は精神論になってしまいましたが、魂を込めてプロダクトをつくり上げることが、成功へ向かうための確かな道筋なのだと思うのです。

 

 

 

デザイナーさん&修行したい学生さん募集中

ちょうどいま、シリコンバレーでいくつかのWebサービスやアプリケーションを制作中です。もしこのブログを見て興味があるデザイナーの方や修行したい学生さんがいたら、お気軽に hajimeataka[a]gmail.com までメールください。英語やプログラミングスキルがある方を優先しますが、なにより”情熱”がある方を最優先します。

 

おまけ:

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(元Pinterestデザイナーで現GumroadのCEOサヒルと)