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解説系YouTuberが思いついたことを書きます

スタートアップをやってみて気づいた10のこと

あけましておめでとうございます。2013年はTokyo Otaku Modeに捧げた1年でした。外の人ともほとんど会わず、オフィスに引きこもって仕事をしていました。2011年3月24日にFacebookページができてから約2年半、いわゆるスタートアップをやってみて、感じたこと、分かったこと、意識していることなどを、つらつらと2014年の初エントリーに記してみたいと思います。実際にやってみて、こんな感じですよ、というのを少しでも伝えられたらと思います。あくまでも僕が体験したことをベースに書いているので、すべてのスタートアップに当てはまることではないことをあらかじめご了承ください。

 

 

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1. 成功者のアドバイスはほぼ的確

スタートアップで成功する確率は1%以下と言われるように、ほとんどのスタートアップは失敗に終わります。そんな厳しい世界で成功した人からのアドバイスというのは、とても貴重です。成功者自身も、これまでにたくさんの失敗を経験した上で成功を掴んでいるので、失敗を避けつつ、成功するための考え方や指針が、実際に役だった場面も少なくありません。 Tokyo Otaku Modeの場合、成功者のアドバイスを元に、とても重要な方針転換を2回ほど行いました。結果論でしか言えませんが、その方針転換はいま考えても正解だったと思います。ただ、「ほぼ的確」と書いたのは、成功者といえども、すべての情報を把握してアドバイスをしてくれるわけではないので、ときおり間違ったことを言うこともありえます。言われたことを鵜呑みにせず、自分たちの頭で考えて、最終的には自分たちの責任で結論を出すべきなのだと思います。

2. 提携やタイアップに期待しすぎない

これまでの経験上、提携やタイアップで当初想定した通りの結果になることは非常にまれです。様々な要因が絡んで、実際にはしょぼーんなケースは本当によくあることです。先方の組織上の問題で1つの決め事に1ヶ月単位で掛かり、いつまでたっても開始できないなんてことも、「提携あるある」のひとつでしょう。付き合いのある人からの紹介だったり、仲の良い会社だからと、無理矢理提携するケースもいい結果が出ることはまれです。ただ、スタートアップにとって、大企業や有名企業との提携やタイアップを決めることは、大きな成長のキッカケになるのも確かなので、理想的と思える提携やタイアップは積極的に組みにいくようにすべきだと思います。

3. 人の繋がりは超大事

スタートアップにはヒト・モノ・カネ、常にあらゆるものが足りないですが、そこをカバーしてくれるのが、人と人との繋がりだと思います。提携/タイアップ案件、ファイナンス、リクルーティング、制作/開発の発注、すべて人の繋がりがあれば、ノンストップで物事が進みます。直接の繋がりがなくても、信頼できる人からの紹介で、信頼できる会社や人を紹介してもらうことができたら、クイックに進むだけでなく、成功率そのものが変わってきます。人との繋がりを決めるのは最終的には人間性。それまでにどういう人付き合いをしてきたかが試されるのだと思います。

4. 食事と睡眠はきちんとる/とれる

これは僕が30歳を超えているのと、食事や睡眠時間を削るとすぐ体調が悪くなる身体なので、みなさんにそのまま当てはまるとは言えないかもしれません。でも、食事や睡眠を削らなくてもスタートアップはできるよ、ということは伝えたいです。大事なのは時間の作り方だと思います。オフィスの近くに引っ越して移動時間を短縮したり、テレビやゲームなど娯楽に使っていた時間をなくしたりして時間を作り、食事や睡眠時間を確保するのです。常に100%で働ける状態を作るために、自分なりの健康管理は確立しておきたいものです。特に創業期は、創業メンバーが倒れてしまうことが一番のリスクだと思うので、創業期のバタバタでも食事と睡眠はきちんととるほうが、成功確率は高まると思います。

5. ファイナンスにかける/かかる時間は相当大きい

会社の株の一部を、外部の投資家やベンチャーキャピタルに買ってもらうことを資金調達やファイナンスと呼びますが、大きなお金が動くこともあり、非常に煩雑な手続きが待ち受けています。契約書は専門用語のオンパレードで、高い専門知識が必要であり、法人が海外にあったり、海外から資金調達するとなるとさらにハードルが上がります。Tokyo Otaku ModeはCFOを中心に役割を分担しているので僕自身の負担は多くないですが、先方との面談や事業計画書資料作りにかけている時間は膨大です。資金調達のために時間を割きすぎて、肝心のサービスがほったらかしという状況が生まれることは絶対にやってはいけないことだと思いますし、もしこれから億単位の資金調達をする段階のスタートアップならば、専門で行うCFOを担当に立てることをおすすめします。

6. 資金調達したら成功と思われる

「◯億円の資金調達に成功」というニュースだけを見ると、◯億円の部分だけを注目されて、「儲かってるんだなぁ」などと言われることがあります。一口に資金調達と言っても、すでにマネタイズが確立されていて、さらにスピードを上げるために資金調達を行うケースと、マネタイズはまだ先伸ばしにして当面の運営コストに費やすケースの2パターンがあります。後者の場合、資金調達する=儲かっているというのは、早計なのです。とはいえ、投資家やベンチャーキャピタルからは評価されている状態なので、正確に言うなら、「儲かりそうな会社にちゃんと成長していってますね」というのが正しいと思います。

7. 失敗した時のことも常に考えておく

スタートアップは99%失敗するものだと考えて、あらかじめセーフティネットを敷いておくことは超大事だと思います。Tokyo Otaku Modeの場合は、創業メンバーはみんな別の仕事をしながら、段階に応じてジョインするような方法でリスクを最小化していました。また、もし失敗したときのために、1年くらいは生きながらえる貯蓄があったり、ダメになったときに帰れる場所や仕事があれば、精神衛生上とても良いですね。その分、思い切ったことができるので、大きく成功する確率も増えると思います。

8. メディア露出は戦略的に

ウェブ媒体や新聞やテレビなどメディアは、スタートアップの成長に一役買ってくれるありがたい存在です。ただ、やみくもに露出すれば良いわけではなく、ターゲットユーザーの獲得、クライアントの獲得、リクルーティング、営業やファイナンス上の材料など、目的やブランディングにあわせて、メディアの露出を考えるべきだと思います。歌手が出演番組を選り好みするのと一緒で、露出のし過ぎもマイナスに働く場合もあるので、ある程度コントロールするべきかと思います。そして、発言や写真は一生残るものだと思って、掲載前の確認は怠らないようにしましょう。

9. 断る勇気

業界で注目を浴びたり、軌道に乗ってくると、面白い話が色々と舞い込むようになります。ただ、すべての話が会社の成長にとって大事なことかどうかと問われると、そうではない話が多くあるのも正直なところです。特に、恩のある方から頼まれると、無下には断りづらく、心苦しい場面も多々あります。いくら話としては面白くても、会社の成長に繋がらないものに無駄な時間とリソースを割くわけにもいきません。限られた時間とリソースの中で何をしていくかを精査することが大事です。

10. 会社の成長にあわせて自分も成長する

スタートアップの使命は、毎日「成長する」ことです。であるならば、スタートアップに携わる人は、毎日、自分自身が成長したという手応えを得て1日を終わるようにしたいものです。1日1%成長すると、1年後には1.01の365乗で約37.7倍成長します。昨日と比べて今日1%の何かを得られたかどうか、僕自身も毎日自問しながら日々の仕事を行っています。

スタートアップの日常は毎日がトラブル続きで、起こってほしくないことがほぼ毎日起きます。笑ってしまうくらい起こります。そんなトラブルに立ち向かう力はどこから湧いてくるかというと、それにかける熱い情熱でしかありません。情熱の前には、才能や技術や知識はおまけのようなもので、情熱が足りなければ、事業の立ち上げの途中で挫折したり、困難に打ち負けてしまいます。スタートアップがスタートアップであるゆえんは、ビジョンを実現したいという情熱なんだと思います。自然と湧き上がる情熱が仕事を進め、人を動かし、ユーザーの心を掴んで、やがて社会を動かすのです。ぶっちゃけ情熱だけでもなんとなかなるものです。

かくいう僕は、学生時代にゲームクズをこじらせて、ゲーム攻略本を作る編集プロダクションに入社(逃亡?)し、紙媒体の終わりを横で見ながら、あぁこのままだとダメだ、ダメだけどどうしたらいいのかわからない、という何者でもないゲームライターでした。好きなことを仕事にしたところまでは良かったものの、業界のトレンドには逆らえません。半ばやけくそで好きなゲームの攻略サイトをプログラミングを勉強しながら公開したのが、インターネット業界にかかわる最初のキッカケでした。その後も個人でいくつかのWebサービスを作って運営し、いくつかサービスを売却したり、その中のひとつで会社を作って起業したりして、今に至ります。そんな中でも「なにかを成し遂げる」という情熱だけは失わなかったように思います。

この時代に生まれてきて、本当によかったなと思うのは、インターネットやパソコンを活用することで、世界は無限の可能性を示してくれていることです。もし、戦国時代に生まれてたら、家筋や武力で将来が決まる時代で僕やあなたは活躍できていたのでしょうか?平成の世は、インターネットとパソコンこそ「刀」。その無限の力を秘めた武器を思う存分に使いまわしましょう。

そんなわけで、Tokyo Otaku Modeでは、平成の「刀」を振り回してくれる情熱を持ったスピード感あふれる学生インターンを募集しています。もし僕やTokyo Otaku Modeに興味があったら、一度お話ししませんか?お気軽に h_ataka[a]tokyootakumode.com までプロフィールを送ってください。