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解説系YouTuberが思いついたことを書きます

スタートアップは「失敗」を積極的にするもの

Tokyo Otaku Mode(以下、TOM)の安宅です。

「失敗は成功のもと」「失敗を恐れるな」などとよく言いますが、やはり「失敗はしたくないもの、隠したいもの」と失敗自体をよくないものだと思っている方や、「失敗したときにどう思われるだろう、できないやつだと思われるのではないか」と周りの目を気にして不安になってしまっている方は多いのではないかと思います。僕自身、数十のWebサービスをつくったり、スタートアップの立ち上げをしたりと、これまでいろいろな経験をする中で多くの失敗をしてきました。その時は「やってしまった」と落ち込むこともありましたが、失敗をしなければ成し得なかった成功を何度も経験することで、次第に失敗を前向きなものだと捉えるようになってきました。特にスタートアップにおいては、失敗をすることは重要な経験になりえます。今回は、僕がそう考えている理由について書いてみたいと思います。

 

 

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1. なによりもスピードが大事

「巧遅(こうち)は拙速(せっそく)に如かず」という格言があります。これは「出来が良くて時間がかかるよりも、たとえ出来は悪くとも速くこなすほうがよい」という意味の言葉です。ひとつ前のエントリーにも書きましたが、スタートアップで働くうえで、一番に意識しなければいけないのはスピード感であり、「まずやってみる」というマインドを持つことはとても大事です。最初からすべて完ぺきにやろうとすると時間がかかってしまうので、小さなミスはしていったほうが、仕事は断然に速く進みます。出来上がったものが50点の状態で、そこにミスが含まれていたとしても、足りていない部分があったとしても、まずはそれでOK、そこから100点を目指してスピーディーに動けばよいのです。

ただ、このときにひとつ注意すべきことがあります。それは、間違えてはいけないポイントをおさえること。クリティカルなミス、またはクリティカルなミスに繋がるミスはしないように進めることが大事です。

例えば、作成している資料の文字のミスについて考えてみましょう。簡単な社内説明用の資料であれば、いくつか文字に間違いがあっても、速く作ることを優先させてよいでしょう。説明時に気づいたらその場で口頭で説明すれば何も問題ありません。しかし、それが大事な取引先へのプレゼン資料なのであれば、何度も見直して、ミスをなくすことが大事です。また、見積書や請求書など金銭のやり取りにかかわる書面についても、記載した金額に間違いがないか時間をかけてチェックする必要があります。

自分が抱えている業務で、どういう失敗をするとどういう問題が起こるのか常に意識し、今行っている業務は例えミスがあっても短時間で行うべきか、それとも、ここでミスがあると信用を失ったり、解決するのに時間やコストがかかる大きな問題に繋がったりする可能性があるから時間をかけてチェックするべきか、考えたうえで取り掛かることが大切ですね。



2. 失敗は成功へのプロセスの一部

以前、こちらのエントリーで詳しくまとめましたが、TOMは事業を遂行する際、様々な場面においてリーン・スタートアップを実践しています。僕はリーン・スタートアップで核となるのは「小さな失敗を積み重ねることにより、成功への道を進んでいく」という考え方だと思っています。

通常は「失敗」というと”結果”を意味しますが、リーンの考え方においては「失敗」は結果であるとともに、”プロセス”のひとつです。仮説を設定し、検証し、仮説どおりであればそのまま進み、仮説と結果が違う場合、つまり「失敗」した場合には、方向転換(ピボット)をし、新たな仮説を設定します。つまり、「失敗」は進むか、方向転換するかを判断するための材料であり、最終的な成功への道の途中経過です。「失敗」で終わりではないのです。

TOMは、Facebookページからスタートし、多くの海外のファンを獲得、その後オリジナルサイト otakumode.com (以下、.com )を開設しました。Facebookページのファンに、.comにうまく流入してもらえるように、何度もA/Bテストを行いました。(詳しくはTOMのTech BLOGに書いていますので、ぜひ見てみてください。)A/Bテストも、言ってみれば失敗の検証です。やってみて、「失敗」したことにより、はじめて何が「正解」が分かるのです。

また、現在TOMでは、日本のアニメグッズを海外に販売するECを主力事業として行っています。これから大きく成長させていかなければいけない発展途上の事業ではありますが、これまでにも、多くの仮説と検証、そして失敗を日々繰り返してきました。

EC事業で扱う商品については、ざっくり言うと「日本発祥のものでエンタメ要素のあるもの」というルールがあります。このルールから外れない範囲で、挑戦的な商品を新たに取り扱ってみることはよく行っています。普段扱っていないようなネタっぽい商品を扱ってみて、想定外にバカ売れしたり、まったく売れないということもあります。

逆に、販売を始める前から「これは絶対売れる」と直感する商品もあります。ある時、見つけた商品は仕入れ価格で4万円くらいする高額なものだったのですが、これは売れるという確信があり、心意気を示す意味でも、自腹で商品の仕入れを行いました。そして意気揚々とECでの販売を開始したのですが、蓋を開けてみれば商品は売れず。完全な失敗です。原因は当時ECを利用してくれていたお客さんの層に対しては販売価格が高すぎたことや、商品の対応言語が日本語だったために英語圏のお客さんの購入意欲に繋がらなかったためでした。この学びを活かして、今ECを利用してくれているお客さんがどれくらいの価格の商品なら購入してくれるのかを分析するようになったり、言葉の壁は予想以上に高いことが分かりったりと、多くの学びがありました。(身銭を切っている分、余計に身にしみます(笑))

なんでもかんでも挑戦してみればよいというわけではありません。しかし、挑戦しなければ、失敗もできません。失敗しなければ、そこから学びを得ることはできません。挑戦するかしないかギリギリのラインを見極める力や、「迷うのであれば挑戦してみよう!」という決断力をメンバーひとりひとりが身につけ、成功への道を進んでいけるとよいですね。



3. 失敗によって組織も人も成長する

部下が失敗したときに、頭ごなしに叱ったり、責める人がいますが、僕はなるべくしないように心がけています。

第一の理由は、失敗の原因は、仕組みが悪いことがほとんどだからです。人を責めずに、仕組みを責めなければいけません。人間だから失敗するのは当たり前です。機械だってバグがあればミスを起こすのですから。人は失敗するという前提を持ち、その中でまずは失敗をできるだけ極限まで減らせる仕組みを作ることが大切です。

失敗を引き起こしてしまう要因がある仕組みの中で、誰かが失敗をしたとき、その一人を責めるとどうなるでしょうか。その一人はもう同じ失敗はしなくなるかもしれません。それ自体はよいことです。しかし、結局仕組みが直っていない場合には、きっとまた別の人が同じ失敗をしてしまいます。そういった仕組みの中で人がミスしないように気をつけるよりも、仕組みを改善させるほうが先決です。

例えば、その業務を行うためのマニュアルが用意されているか。そこには、必要なチェック項目が網羅されているか。例えば、Webサイトの入力画面で、入力してほしい項目を必須項目にしてあるか。メールアドレスの入力欄はローマ字しか入力できないようにしているか。普段から「ミスが起こらない仕組み」を考えて、業務に取り組むだけで減らせる失敗はたくさんあります。

ただ、失敗した人自身が「仕組みが悪かったんだな。自分が失敗したのは仕方なかったな」と考えるのも、また違いますね。失敗しやすい状況に気づいて、事前に仕組みの変更を提案できたかなど、失敗したことはきちんと反省し、次に活かすキッカケにしたいものです。

そして第二の理由は、失敗や問題、ミスの共有は組織の成長にとって、非常に有益なことであるからです。失敗の共有をすることで、その他のメンバーも、どういう点に気をつければいいのか気づくことができます。同じ業務をするときに同じ失敗をすることはなくなるでしょうし、他の業務に応用することで、どんどん業務レベルの質が上がっていきます。

失敗した人を責めるのは逆効果、隠ぺいに繋がる可能性があります。もし部下や後輩やチームメンバーが失敗をしたときには、一緒に問題解決、つまり仕組みづくりをしていこうとする姿勢が大切です。また、仕組みは整っているのに、本人の集中力が足りずに失敗してしまうこともあるかもしれません。集中せず仕事をして失敗している姿を見ると、つい責めたくなってしまうものですが、仕事に対する不満があったり、周りに言えない悩みを抱えている場合もあります。また、仕組みが整っていると思っていても、失敗した人の話を聞いてみたら、仕組み自体に欠陥があることに気づくというのもよくある話です。ですので、誰かが失敗したときには、まずは責めずに話を聞いてあげられるとよいですね。このように一緒に失敗に対応する姿を見せることで、本人の反省に繋がりますし、そのことで会社やあなた自身に対する信頼感が生まれ、次回、別の失敗をしたときに、積極的に報告しようと思うようになっていくはずです。



スタートアップは挑戦なしには、大きな成長を望めません。失敗を恐れて挑戦をしないということは、事業や個人の成長を止めることと同義なのですね。Tokyo Otaku Modeでは、積極的に失敗し、大きな成功をつかみたいという熱い情熱を持ったメンバーを募集しています。もし僕やTokyo Otaku Modeに興味があったら、一度お話ししませんか?お気軽に h_ataka[a]tokyootakumode.com までプロフィールを送ってください。Wantedlyでも募集しています。