パパパパ

解説系YouTuberが思いついたことを書きます

来年こそWebサービスを作りたい人に伝えたい9つのこと

今年のはじめに「今年こそWebサービスを作りたい人に伝えたい5つのこと(+番外編)」というブログ記事を書きましたが、個人開発して起業した「Q&Aなう」や「パパパパ開発合宿」の運営を通じて、僕が今年1年でさまざま経験したことを盛り込んで、いま改めてWebサービスについて考えていることを書いてみようと思います。とくに個人開発者の方やこれからWebサービスを作りたいと考えている人たちに読んでもらえたら、とても嬉しいです。

僕自身の実体験を元に構成しているので、人によって役に立ったり、立たなかったりかもしれませんが、その点はご容赦を。


例によって長文になったので、目次を作りました。

1. 目標を立てる、目的意識をしっかり持つ
2. 作らないと始まらない
3. ”プロトタイプ開発者”になろう
4. プログラミングは怖くない
5. 最初から完璧を求めない
6. デザインがすべてを作る
7. スタートダッシュを切る
8. 企画段階でバイラルの仕掛けを組み込む
9. 人に会うことでサービスが成長する

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長すぎて、書いている自分でも、伝えたい事が伝えられるか不安だったので、事前に友人に記事内容を見て頂きました。


"「Webサービス」は作ったら終わりではなく、作ってからがようやくスタートなのです。この言葉が、一番身にしみているところです。つまり、ただのWEBではなくて、結局人が遊べる場所を創り、運営することなんだなと思いました。"
ソーシャルメディア事業 株式会社ハロ Co-Founder CMO イセさん / アドラッテ♪


"この記事の中に書かれている「まずはプロトタイプレベルでも作って見ることが大事」というのはまさにその通りだと思います。Croppyというサービスを作る時は、極力WordPressの機能やプラグインを利用して3日でプロトタイプを制作して、色々な人に意見をもらいながら無事リリースすることができました。"
フリーランスのWebデザイナー なつきさん / Croppy


"「最初から完璧を求めない」が特に印象的でした。日々サービス開発を進めていると、ついついキレイなものを作りたくなってしまいがちですが、「基本コンセプトを検証するための手段」程度の気持ちで汚いプロトタイプをババっと公開することが大事だなぁと思う今日この頃です。"
コーチ・ユナイテッド株式会社 代表取締役社長 有安さん / プライベートコーチのCyta.jp


”「やるしかない」という状況になると、プログラミングであれば何であれ上達は早いものだと感じています。プログラミングを覚えたいけれど今一歩踏み出せない、という方は「やるしかない」状況をいかに創り出すかが重要だと思います。”
株式会社エイリスト 代表取締役 酒井さん / 転職SWOT

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目標を立てる、目的意識をしっかり持つ


これまで30近くの「Webサービス」を作ってきて、ひとつはっきり言えることは、あまりよく考えずに「Webサービス」を作るっても、まずうまくいくことはないということです。「なんでそのWebサービスを作るの?」と聞かれたときに「なんとなく」ではなく、「◯◯するため」と目標や目的意識をはっきり持つことは、本当に大事だと感じます。ちなみに、僕含め、僕の周りにいる人たちの目的はこんな感じの人が多いです。


・世界をもっと便利にするため
・起業を目指しているので
・自社サービスを作って受託開発からの脱却するため
・定期収入/お小遣い稼ぎをしたいから
・独習のため
・会社で新規サービスを作ることになったので
・自分のスキルをアピールするため
・コンテストに出場し上位入賞を狙うため
・自分で欲しいけど世の中にないのでしかたなく

前のめりなものから後ろ向きな感じのものまで、目標や目的は人それぞれだと思います。「あなたはなぜWebサービスを作るのですか?」もし、この質問の答えが、「なんだったっけ?」とぼんやりした考えだったら、時間のあるときに自問自答して、目標や目的をくっきりと浮かび上がらせてから取り組むことをお勧めします。

さて、僕もその一人だったのですが、「Webサービス」はリリースさえすれば、こうした目標や目的がすぐに達成すると思っていると、実はまったくそうではないことに気づきます。作ったら終わりではなく、作ってからがようやくスタートなのです。Webサービスを企画をして、立ち上げるまでの瞬間は本当に楽しいものです。さらに、運よくスタートダッシュが決まれば、そのあとしばらくはユーザーからの反応もたくさんあり、ハイテンションのままスタート時につきもののさまざまなハードルをわりと簡単に乗り越えることができます。しかし、アドレナリンが出まくる時期は一定期間で過ぎ去ります。そこから先は、「ユーザーが全然増えない」「ユーザーが増えてもサーバーが悲鳴を上げてる」「システムに致命的なバグがある」「ユーザー間でトラブルが発生した」「予期しない事態に見舞われる」など、本当にさまざまな事態が起こります。運営フェーズでは、こうした予想外のことが度々起こるので、立ち上げるまでの労力とはまた違った「パワー」が必要になります。

Webサービスの運営をしていると、必ずといっていいほど想定外の出来事やトラブルに巻き込まれます。そのときに心の拠り所になるのが、「自分はなんでこのWebサービスやっているんだっけ?」という目標や目的です。ここがぼんやりしていて曖昧だと、「こんな辛いことならもういい」と簡単に諦めてしまいがちです。個人開発者ならなおさらです。しかし、目標や目的がはっきりしていれば、そんな困難な状況でも「まだ目標には到達していない」「もっと使いやすく便利にするんだ」といった考えに変わって、次の一歩を踏み出すことができるのです。


作らないと始まらない


いくらコンセプトは素晴らしくても、動くものがなければ絵に描いた餅です。目標や目的をはっきりさせたら、フィードバックをもらうためにまずはプロトタイプレベルでも作ってみることが大事です。Webサービスのアイディアはかなり多くの人が持っていますが、実際に作って運用する人はごく一部です。アイディアは形にならなければ100%失敗に終わってしまいます。

作ると決めたら、スピード感をもってWebサービスを作ることも大事です。僕はアイディアを思いついたら、その瞬間に同時に世界中に10人以上が同じアイディアを思いついている、と考えることにしています。素早く公開まで持っていくように、自分自身にプレッシャーを掛けるためです。もちろんサービスのテーマや種類によっては、じっくり作り込む必要のあるサービスもありますが、個人開発者が作るWebサービスの場合は、モチベーションの持続力を考えると数日から数週間以内で、プロトタイプのリリースまで持って行くくらいのボリュームがちょうど良いのではないかと思います。とにかく作ること、それが成功と失敗を分ける一番最初の壁になります。


”プロトタイプ開発者”になろう


プロトタイプ開発者というのは僕が勝手に作った造語ですが、Webサービスを作って起業したり、継続して運営していくことを目指している人は、プロトタイプレベルのWebサービスが作れる程度のスキル、つまりプログラミングやデザインなどを一人でできるようになったほうが、成功率が高まると考えています。

そう考えるのは、いくつか理由があります。まず、ひとりで一通り作れる人はアイディアを思いついてから、すぐにサービスを作り出すことができるので、スピード感が圧倒的に違います。もし、これが2,3人のチームでやるとしたら、関わってくれる人にそのアイディアを伝えて、「よしやろう」となるまで時間がかかったり、いざ開発が始まっても情熱に差が生じたり、やむえない諸事情で開発が遅れたりすることは多々あります。(役割分担がちゃんとできていて、意思疎通が十分取れているチームであれば、この限りではありません。)

運用フェーズでも、確実に差が出てきます。ちょっとした修正や機能追加など、自分自身である程度スキルがあれば、すぐに修正することができますが、他人頼りだと、どうしてもワンテンポ遅れてしまいます。毎回誰かにお願いするとしたら、コストでも差がつきます。また、Webサービスが軌道に乗ってきて、システムやデザインに直接手をかけないでよくなったとしても、システムがどうやって動いているとか、デザインの作業工程を知っていれば、より的確な指示やスケジュールを見積もりができるので、物事がスムーズに運ぶことでしょう。


「プログラミング」は怖くない


プロトタイプレベルのWebサービスであれば、ヤル気があれば、プログラミングの素養がまったくなくても数年以内に作れるようになる……と僕は思っています。

僕はいま31歳なのですが、文系大学を出てシステム・エンジニアを目指して中堅の開発会社に就職するも、やりたいと思ったことと違ったので、研修期間を終えるか負えないかのタイミングで、新入社員第1号で退職し(ダメ社員とも言う)、元々好きだったゲームの攻略本を作る編集プロダクションに入って25歳くらいまでライターをしていました。その後、その会社が企画したテーマ特化型のSNSの制作ディレクションを、本で勉強しながら見よう見まねで行なっていたら、サービスが法人化したのでそのまま会社を転籍し、小さな会社の「なんでも雑用係」として29歳まで働いていました。その間は広告バナーやメルマガの運用、動画の撮影など、Webサービスの運営に関わるありとあらゆる作業をしていました。その会社でコツコツ働きつつ、夜間や休日などの時間で、個人でWebサービスを作って来ました。

僕自身の経歴の中で「プログラミング」は一度も仕事にしたことがありませんでした。しかも25歳までは趣味でhtmlベースでホームページを作ることはあっても、「プログラミング」をするどころか、暇な時間はゲームばかりして過ごしていたので、プログラムを勉強した時間でいうと、合計しても数年もないはずです。それでもプロトタイプレベルのWebサービスはなんとか作れるようになりました。

あまり大きな声でいうことでもないのですが、僕自身文系の出身で、たいした学歴でもありませんし、学校の成績はオール3〜4みたいな平々凡々な人間です。そんな人間でも、プロトタイプレベルであればサクっと作れるくらいに、プログラミングの難易度は下がっていると思います。そうは言っても、「私は絶対にできない」という人もいるかと思いますが、去年、私が出会った人の中でも、パソコンに触って半年でWebサービスが作れるようになった人や、開発合宿に参加している人で1年前はhtmlを少しだけ触れた人が、いっぱしのWebサービスを作っているところを目の当たりにすると、目標や目的を実現するためのヤル気だけの問題のように思います。


最初から完璧を求めない


”プロトタイプ開発者”という言葉には、もうひとつの意味が込められています。特に個人開発者や少人数でのWebサービスについては、プロトタイプくらいの完成度でとりあえずリリースしてしまって、最初から完璧なものを作ろうとしないほうが良いと考えています。よくありがちな失敗に、最初から機能を盛り込みすぎてしまうことがあります。特に最初の頃はこうした失敗をしがちです。本当にこの機能がなくなったこのサービスが成立しない、というコアな機能のみを残してリリースすることが大事です。機能を絞り込むことによって、リリースまでのスピード感を高めることができます。リリース後も、ユーザーからのフィードバックを見ながら追加機能をつけていくことができるので、方向性を間違わずに済み、失敗が少なくなるのです。機能が多いほど運営・管理も大変になるので、最小限の機能でスタートするメリットはとても大きいと思います。

変な言い方になりますが、僕はシステムの完成度も完璧を求めないように心がけています。

デキるエンジニアと話すとよく出てくる話なのですが、彼らにも素晴らしいアイディアがあって、個人的にWebサービスを開発しようとするが、開発期間が長くなって、たいがい他の人に先に作られてしまうそうです。「デキるエンジニアほど開発スピードは早いはずなのに、なぜ?」と疑問が湧くのですが、システム面の深いところまで知っていて、色々できてしまうエンジニアが、自分で仕様を詰めていくと、途中でもっとベストな構成やインフラ設計があることに気づいて、より完璧なシステムを組もうと何度もやり直しをしたりしまうそうです。そこでやり直しておくと、あとで作り直しが必要なくなるので、いま直しておいたほうが良いという発想になるわけです。深く知っていて先を見通せるからこそ、完璧なシステムを求めすぎてしまい、いつまでたってもリリースできないジレンマに陥るというのです。

このことから言えることは、状況において割り切りが必要だということです。今の時点では、時間がかかりすぎたり、コストが高すぎたりするならば、あと回しにする。プロトタイプの開発は、そうした完璧を求めない代わりに、スピード感を持って開発を進めていくことができます。


デザインがすべてを作る


デザインの重要性は僕が大きく勘違いしてきたことのひとつで、ここ1年で大きく考えを変えたことの一つです。1年前の僕は、Webサービスはデザインよりもアイディアが重要、そう考えていました。周りを見渡せばデザインがしょぼいサイトでも流行っているサービスはいくらでもあるし。しかし、いまはそう考えていません。たしかに、デザインのセンスがないサイトでも流行っているサイトは多々ありますが、そうしたサイトは、ターゲットとするユーザーに(もしかしたら偶然に)合ったデザインになっていたのだと考えています。

考えてみれば、僕たちは人の”顔”に対しては「可愛い」「イケメン」なんて見た目で評価するのに、「Webサービス」だけは例外、なんてことはないのですね。デザインがユーザーの属性を決め、デザインがWebサービスの使いやすさを決め、デザインがそのサイトの経済的な価値を決める。デザインこそがすべてなのだと思うようになりました。

「デザイン」がすべてを作るというのは、決して大げさではなく、デザインによってそこに訪れるユーザーも大きく変わります。たとえば、僕が企画した「◯◯だけど何か質問ある?」は、ターゲットとして2ちゃんねるニコニコ動画のユーザーを強く意識してデザインしています。実際にそれらのサイトが好きそうな人たちがやってきました。逆にあのデザインで、間違っても女子大生に流行ることはなさそうです。ハイセンスすぎるデザインは万人を寄せ付けないですし、逆にセンスのないデザインは万人受けしづらい。デザインとはサイトの「顔」であり、(幸か不幸か)現実世界と同じように「顔」によってWebサービスに集まるユーザーが変わってくるのです。

また、もうひとつ大事な視点をつけくわえると、僕やあなたは”一般人”でない、ということです。こんな”マニアック”な記事を見ているあなたも例外ではありません。機能やデザインを考えるときに、僕らが一般人と同じ感覚で、Webサービスを利用していると考えたら、最初の発想からあらぬ方向に向かってしまっています。デザインは見た目だけではなく、ボタンの配置の仕方やページ遷移の仕方など、UIも含みます。ターゲットとしているユーザーに適切なデザインを提供すること、ここがポイントだと思います。例えば、リテラシーがあまり高くないユーザー層を狙う場合は、直感的なデザインで、つまづきそうなポイントで丁寧な解説を入れてあげるなど配慮する必要がありそうです。こうした”デザイン”がちゃんとできているかどうかが、そのWebサービスが流行るか流行らないかを決める差別化ポイントとなります。

細かいところですが、例えばドメインの美しさというのもひとつの”デザイン”であり、わりと大事なポイントです。僕自身の失敗経験をひとつ紹介します。いま思い出しても、いくらなんでも雑すぎると思うのですが、Webサービスを作り始めの頃は、サービスごとにドメインを取得するのがもったいないと思っていた時期があり、全然関係ないサービスのサブドメインやフォルダを切って新しいサービスを作っていたことがありました。オセロ(リバーシ)を遊ぶサイトを新しく立ち上げたのに、過去に作っていたニュースサイトのドメインで「news-site.com/othello」のようなことをしていました。こうしたことは、見る人から見ると「1000円程度をケチるなんて、この人にとってこのサービスに対する意気込みはこんなものなんだ」と思われてしまいますし、そんなおざなりなドメインで成功しているサービスはひとつもないことからも、なにをすべきであったかは明らかでしょう。


スタートダッシュを切る


Webサービスを作って公開したものの、誰も使ってくれない。こうした経験をしている方は非常に多いと思います。僕自身、Webサービスを開発し始めた頃は「良いものさえ作れば自然にたくさんの人に使ってもらえる」という考えで、「なんで人が来ないんだ?」と悩んでいました。しかし、とても良く作りこまれているWebサービスで、かつお金をかけてプロモーションをしているサービスも多い中で、プロモーションをしなかったら流行るものも流行ならいのは当然なのかもしれません。お金をかけずにできるプロモーションもたくさんあるのにも関わらず、作ったあとのプロモーションを考えなかったり、手を抜いたりしてしまうと、せっかく精魂込めて作ったWebサービスも、誰の目にも止まらずに終わってしまいます。

ユーザーがいないと、貴重なフィードバックが得られないだけでなく、ユーザーから派生する口コミも起こりづらいので、バイラルしていく過程の中でメディアで取り上げてもらえる確率も減り、どこかでブレイクするきっかけもゼロに近くなってしまいます。下記は、以前このブログでも記事に書いた「Webサービスでスタートダッシュを決めるために行うべきプロモーション方法」の一覧です。Webサービスを作ったら、ぜひこの方法を試してみることをお勧めします。


1.自分自身が有名になる
2.有名人、アルファブロガーに紹介してもらう
3.ブームに乗る、ホットなテーマに取り組む
4.プレスリリース、宣伝可サイトに書き込み、友人・知人に知らせる
5.SEO対策
6.はてなブックマークでホットエントリーを取る
7.自分のWebサービスからユーザーを流す
8.最新の技術を取り入れたサービスを作る
9.コンテストに参加する
10.勉強会や講演会などのイベントやコミュニティに参加する
11.ネーミング、キャッチフレーズにこだわる、秀逸なデザイン

ひとつひとつの細かい解説は、「Webサービスを作ってスタートダッシュを決める戦略11つ(+番外)」を見ていただければと思います。

プロモーションはWebサービスを作る作業とは違い、はっきり言えば地道な作業になるので、苦手な人も多いかと思います。ただ、流行するサービスは、こうした地道なことも手を抜かずにしっかりやり、ブレイクのきっかけを掴んでいることが多いのも事実です。積極的にやりたくないけどやらざるを得ない類のものかもしれません。こういう場合、僕は「やりたくない人が多いことをやるから成功するんだ」という強い”思い込み”を持ってやることにしています。


企画段階でバイラルの仕掛けを組み込む


あらゆるWebサービスにとってユーザー数を増やすことは、何よりも大事な必須課題です。Webサービスのユーザーをどう集めていくかは、Webサービスの運営において常につきまとってきます。すでに多数のユーザーを抱えているサイトでも、より多くの人を集めるために中の人は常に知恵を絞っていると思います。

僕は、ユーザーを集めるときに、Webサービスを作ってから考えるのではなく、サービスの企画・設計段階で綿密に検討し、お金をかけずとも自然とユーザーが集まる仕掛けを組み込んでおくことが、とても大事だと考えています。初期段階で”バイラルで広がる仕掛け”があるかどうかで、そのサービスが継続的にユーザーを集められるかどうかが決まると考えています。

僕自身が過去に作ったWebサービスで成功と失敗を分けているものの大きなポイントは、まさにこの発想ができていたかどうかに尽きます。最近では、TwitterFacebookといったソーシャルメディアと連携することによって、自然とバイラルが広がる仕組みができあがるので、コンセプト的に連携が難しい場合を除いて、そうしたソーシャルメディアを活用しない手はないと思います。


作ってから本当の勝負が始まる


Webサービスは作ったらおしまいではなく、そこからが本当のスタートです。いま多くのユーザーを集めている世界規模のサービスでも完成したWebサービスはひとつもありません。Webサービスには完成はなく、永遠にバージョンアップを繰り返していくものなのです。インターネットを取り巻く周囲の環境も年々変化しており、クラウドなど新しいインフラの登場、ハードの性能やネットワークの高速化など、この世界の進歩はとどまることを知りません。だからこそ常にチャンスが潜んでいるわけで、なにかしらのパラダイムシフトが起こり、新しい時代が生まれれば、そこに新しいサービスが生まれるのは必然と言えます。

そういう意味では、作った後にいかに情熱を継続させるかということを考えておく必要があります。とにかく稼ぐことがモチベーション、ということであれば、まずは稼ぐことに重点を置いて全力でやるべきですし、革新的なサービスを作って起業するんだ、ということであれば、革新性に磨きをかけるために注力する、といった具合です。強制的にそうした環境を作ってしまうこともひとつの手でしょう。僕の場合は、「Q&Aなう」ができた段階で、まず勤めていた会社を辞めてしまいました。その後、しばらくフリーランスとしてQ&Aなうを運営し、1年後に法人化をして、いよいよ逃げ場がない状況を自ら作りました。出資を受ける場合も、こうした環境を作るために一役買うと思います。


人に会うことでサービスが成長する


Webサービスはリアルなショップなどと違って、インターネット上にある形のないモノです。現実の肉体がサイトに訪れることはできません。そのかわり、空間を超えてあらゆる人々がインターネットを介してアクセスすることができます。そこでは人同士が直接、顔を付き合わせて交流することはできません。しかし、Webサービスといえどもリアルな人と人との出会いによってWebサービスがより魅力的になったり、サービス自体が成長していくと考えています。

僕がいつも疑問に思っていることの一つに、イケているWebサービスがなぜか特定の地域に集中している、という事実があります。例えば日本でいえば東京(特に渋谷/恵比寿/六本木)、英語圏でいえばシリコンバレーなど。理論的には、Webサービスは地理的にどこに会社があっても大きな影響はなさそうなのに、現状はそうなっていません。これはなぜなのでしょうか。

僕の仮説では、リアルな人間関係がサービスの魅力や価値を大きく上げる作用があるのではないかと思うのです。ネット上には出回らない、リアルでしか得られないオフレコ的な生情報が、想像以上にサービス成功の可否につながっている、そう考えるとつじつまが合うような気がします。もちろん、そうした貴重な情報だけでなく、地理的な近さは以下のようなメリットがあると考えられます。


・取引先と直接打ち合わせがしやすい
・特定のエリアに集中していることで同じ業界の人材が集まりやすい
・会食や飲み会などがしやすい
・契約締結など物理的な作業がスムーズ
・移動にかかるコストが削減できる
・偶然の出会いから新しい関係が生まれやすい

距離が近いことで、コミュニケーションがはかどり、物事がスピーディーに進むのでしょう。また、こうしたエリアには、すでに成功をつかんだ業界の先輩たちも多く住んでいて、彼らとコンタクトを取りやすい環境でもあります。彼らの成功体験に基づいて、そのWebサービスの問題点に対してアドバイスをもらうことができたりします。僕も、たまたま飲み会の席で聞いた先輩のアドバイスが、その後のQ&Aなうのプロモーションの大きな柱となったケースがあり、実体験として経験しています。また、彼らが成功に至るまで過程で、失敗したこと、やってはいけないことが、こうした地域に限定されて共有されているのではないかと思うのです。

いま考えるとちょっと恥ずかしいのですが、僕がなぜ「Webサービス」を作った一番最初の理由は、人とまったく関わりを持たないでもビジネス(あるいは生計を立てられる)ができるんじゃないかと考えたからです。僕は人といっしょに何かをするということがあまり好きでなく、自分にスキルも自信もなかったので、ほかの人と一緒に働くということがとても苦手でした。Webサービスを作れば、僕ひとりで他の人と絡むことなくお金を稼げるんじゃないかと、かなり本気で考えていました。顔が見えないインターネットの世界で、パソコンに向かって開発をして、自分ひとりでサービスをリリースする。自分の頭で考えて、自分が思うように機能を追加して、すべて自分の力だけで運営していけば、さまざまなしがらみから解放される。最初は、そんな思いで始めたのをよく覚えています。

ところが、すでに成功を収めている先輩方から成功体験を聞いたり、僕が主催するパパパパ開発合宿などで色々な人と交流し、話を聞けば聞くほど、このやり方は、逆に非常に難易度を高めていると思うようになりました。僕が見た限り、世間的にもイケてるWebサービスの運営者の人々は、みな人付き合いもよく交流を通して情報共有や連携を行なっているように思います。


さてさて、長々と書いてきましたが、今回、僕が書きたかった考えをまとめるとこうです。

最初は個人開発でプロトタイプを作る。サービスが成長させつつ、色々な人たちと交流して、いま自分のサービスに必要なヒントを集め、かつユーザーからのフィードバックや自分なりの考えをサービスに反映していく。こうしたサイクルをグルグルと回して、より魅力的で価値あるWebサービスに仕上げていきたいものです。

最後に、僕がとても大事にしている考えを書きたいと思います。”Webサービス”という言葉は「Web」と「サービス」の2つからできています。Webサービスが「サービス」である以上、リアルなレストランと同じように、料理の味(機能)だけでなく、店員の対応(カスタマーサポート)やお店の雰囲気(デザイン)なども含めたトータルでお客様(ユーザー)をもてなす心こそ、極上のWebサービスを生み出すのではないでしょうか。


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パパパパ開発合宿のお誘い


海外ならFacbeook、GoogleYoutube、国内ならmixi、グリー、モバゲー、始まりはひとりから数人で始まったWebサービスでした。こんな少人数でも、世の中に影響を与えられる時代に僕らは生きています。Webサービスを作れば、個人でも世界が動かせる時代。休日にテレビを見たり、好きな趣味に没頭するのもひとつの人生ですが、何かを始めることで何かがか変わり出すかもしれません。

だけど、一人だと、なかなかモチベーションが上がらないのもまた事実。というわけで、僕は毎週日曜日10時〜20時に都内で開発合宿を主催していて、来年も続けていこうと考えています。勉強会とは違って、各人やることを持ち寄って、情報交換しながら開発に没頭できる時間になると思います。あとは、このブログ記事でも書いてきた、Webサービス運営者同士の交流というのも貴重な機会です。すでにWebサービスを運営している場合でも、情報交換を通じてフィードバックを得ることができます。

来年は、開発合宿を通じて新しい取り組みも始めてみたいと考えているので、もしご興味ある方は下記よりどうぞ。

このエントリーを読んでもし自分もWebサービスを作りたい!とやる気が出てきたデザイナーやプログラマー、その他これからWebサービスをつくろうと思っている方、3度の飯よりWebサービスが大好きな”僕ら”と、を開発合宿しませんか?初心者、学生大歓迎。hajimeataka[at]gmail.com までお気軽にお問い合わせください。