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パパパパ

インターネットは僕の嫁。Webサービスについて色々書いていきます。

今年こそWebサービスを作りたい人に伝えたい5つのこと(+番外編)

長くなったので目次を作りました。

1.アイディア出しより前にするべきたった1つのこと
2.あなたが狙うべきテーマは?
3.成功するサービスは何が違うのか
4.外さないサービスの実例と僕の実体験
5.僕が考える究極のWebサービスとは
番外編.サービスを作ることと、稼ぐは別物 - アフィリエイトに取り組んだら売上が月3,000万円になった話

まえがき

最近、個人でWebサービスを作りたい人がとても増えている気がしています。僕は個人開発者として、最近リニューアルしたばかりのQ&Aなう書き起こし.comなど、これまで30以上のWebサービスを作ってきて、失敗したりちょこっとうまくいったりした経験が、これからWebサービスを作りたい人に少しは役に立つことがあるんじゃないかと思ったので、僕なりにWebサービスを作る上で気をつけているポイントを書き残すことで、僕と同じ失敗を避けて、うまくいくWebサービスが増えたらいいな、という思いで書いてみました。


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ちなみに、このエントリーは思ったより長文になったので、言いたいことが伝わっているか不安だったので、事前に親しい友人たちにレビューしてもらっていて、こんな感想をもらっています。


Web開発事業を行っているが、プロの自分としてもあらためて思考を整理ができたと思う。特に「プロモーションをサービス設計に盛り込む」というのは、ソーシャル化したwebサービスの展開にとって必須の考え方だ。(システム開発会社社長 30代)

実体験を元にした成功例、失敗例があってとてもわかりやすいし、webに限らず、サービスの本質、ビジネスの本質を突いている (新規事業開発責任者 20代)

仕事上で役に立ちそうな話だった。 (ソーシャルゲーム・ディレクター 30代)

ここに書かれている内容を知っているかどうかでサービスの成功率は3〜5割上がるんじゃないかと思わせる内容 (SI会社勤務プログラマー 20代)

webサービスを作りたい人に必要な視点、ポイントが凝縮されていて、経験に基づいた貴重な情報が溢れていると思います。こんな本があったら買いたいと思いました。(元IT系マーケティング担当 20代)


僕自身の実体験を元に構成しているので、人によって役に立ったり、立たなかったりかもしれませんが、その点はご容赦を。ちなみに、これまで以上に長文になってしまったので、時間があるときにじっくり読まれることを推奨します。

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ところで、このエントリーを読んでもし自分もWebサービスを作りたい!とやる気が出てきたデザイナーやプログラマー、その他これからWebサービスをつくろうと思っている方、3度の飯よりWebサービスが大好きな”僕ら”と、一度話をしてみませんか?毎週、日曜日(10時〜24時)に東京・立川でWebサービスの開発合宿を行っています。もし、興味がある方がいましたら、@paji_a か hajimeataka[at]gmail.com までお気軽にお問い合わせください。




アイディア出しより前にするべきたった1つのこと


目的意識をはっきり持つ

なにかのWebサービスを作ろう、そう思い立って、まずはアイディア出しだ、と考える人はとても多いと思います。僕もそうでした。でも、今はアイディア出しよりも前に、「なぜWebサービスを作るのか」という目的を明確にすることが大切だと思います。

ちなみに、(かなり恥ずかしいですが)僕が大学生くらいの時に考えていたことを書いてみるとこんな感じです。いまはだいぶ変わってきたのですが、おそらく似たような人も案外多いのではないかと思います。

・人と交流しないでお金を稼ぎたい
・会社で働かなくてもいいようになりたい
・自分が働かなくてもチャリンチャリンしたい(不労所得を得たい)
・世間から評価されたい
・起業したい
・サービスをどこかに売って早くリタイアしたい

僕の場合、元々は人といっしょに何かをするということがあまり好きでなく、自分にスキルもなく自信もなかったので、ほかの人と一緒に働くということがとても苦手でした。Webサービスを作れば、自分ひとりで他の人と絡むことなくお金を稼げるんじゃないかと、かなり本気で考えていました。ただ、ほかの人と同じように働いて一生を終えるのは絶対にやだ、という、それはもう大層な人間だったので、頑張ればひとりで全部こなせそうなWebサービスというのが、ますます僕がやるべきことじゃないか、という風に考えていました。当時はいろいろな書籍やブログでWebサービスを作ることで副収入が得られる、ということが話題になっていて、これだけで生活できたらどんなに幸せだろう、なんてことも考えていたりしました。いろいろなWebサービスを作ってきましたが、基本的なコンセプトはWebサービスが僕の代わりに働いてくれるような仕組みを作ること、これが当時の僕の最大の目的でした。

また、「なぜWebサービスを作るのか」が明確でないと、サービスを立ち上げる前に自分のモチベーションが落ちて、企画倒れで終わるパターンが多いと思います。世の中に出せなかったアイディアはその時点で100%失敗なので、この壁を超えることは”超重要”です。目の前の楽しいことを犠牲にしてでも、やりぬく意気込みが必要なのだと思います。リリースすることで初めてみえてくるものがあるので、まずはリリースしてみることがとても大事です。

Webサービスは基本的に「作っておしまい」ではありません。無事にリリースできたとしても、その先に待っているのはさらに地道な運用です。順風満帆であれば別ですが、通常はリリース後に想定もしていなかったことや、見込み違い、アクシデントが待ち受けていて、そんな状況になってもモチベーションを高めて、めげることなく継続的に運用を行っていくためには、やはり、「自分はなんでこれをやってるんだろう?」という目的が、心のよりどころになると思います。

「お金を稼ぐため」「起業するため」「勉強するため」「有名になりたい」「それらすべて」など、いろいろなパターンがあると思います。ただ、漠然と考えていることが多いと思いますので、じっくり考える時間をとって、正直に自問自答してみることをおすすめしたいです。



あなたが狙うべきテーマは?


まずは好きなことから

僕が考えるテーマ選び


Webサービスを作るときに、何をテーマに据えるか、というのはけっこう悩みどころですが、僕は長期的なスパンで取り組めるテーマを選んだほうが、個人開発者は有利じゃないかと思っています。短期スパンだと、どうしても資本を多く持っている方が強いというのもありますし、息の長いサービスであれば、リソースが少なくても、ゆっくり一歩一歩、余裕をもって取り組めるからです。

いっときのブームで終わらず、少なくとも自分が死ぬまでは業界がつぶれないような、なるべく息の長いサービスが理想的ですね。人間が生活していくのに欠かせない「衣食住」、それに「娯楽」と「性」については、多くの人が考えているので、すでにかなりの数のWebサービスが出てきています。これらの業界は、そもそもインターネットが存在する前から存在しているので、業界大手がWebに進出してくるだけで、巨大なライバル出現、という事態になりがちです。ただ、ニッチだけど、これは将来も絶対になくならないと確信が持てるようなテーマは、大手が参入しづらく狙いどころとして良いでしょう。

僕の場合は、「衣食住」といった視点だけでなく、”インターネットそのもの”に焦点を当てたサービスも考えるようにしています。業界自体の歴史がまだ浅く、まだまだ一発逆転を狙える世界だと思うからです。”bit”の世界なので、人手が入らず、システムだけで成立するサービスを考えやすいのも、メリットだと考えています。Googleをはじめとした検索サービスも、インターネットを前提としたサービスです。インターネットはこの先まず無くなることはないでしょう。また、逆説的になりますが、Webサービスを作る以上、インターネットがなくなったら、そもそもWebサービスが成り立たないことからも、普遍的なテーマと言えそうです。

最初は自分の好きなテーマから


Webサービスをまだ一度も作ったことがない人におすすめしたいのが、初めてのWebサービスは自分が好きなテーマで取り組むことです。僕や周りのWebサービスの開発者の方たちを見ても、自分が好きなジャンルに取り組むことで、Webサービスの成功率は格段に高まっているよう思えます。「好きこそものの上手なれ」ということわざもあるように、好きだから得意になる、好きだからこだわれる、というちょっとした差が、あなたが作るWebサービスの強みにつながっていきます。好きなジャンルであれば、自分自身がユーザーの気持ちになって、自分のサイトを本物のユーザー目線で捉えることができるので、企画や運用などのシーンで、利用ユーザーの潜在的なニーズに気づくことができます。まれに、好きでもないジャンルでも成功してしまうケースもありますが、長く続けていけばいくほど「自分がやりたかったのはこれじゃない」といった悩みを抱え、結果的にうまくいかなくなる、というケースは多々見受けられます。

利用するユーザー側の立場に立ってみると、さらによく理解できると思います。例えば、ペット関連の2つのWebサービスがあったとしましょう。ひとつはペットが大好きな開発者が作ったサイト。もうひとつは、ペットはあくまでビジネスとして向き合っている開発者が作ったサイト。さて、ユーザーであるあなたは、どちらのサイトを利用したいと思うでしょうか?

僕は、ゲームが好き過ぎて、ゲーム攻略本を作る会社に入ったくらいのゲーム大好きっ子だったので、最初にゲームブログランキングというWebサービスを作りました。ゲーム好きであれば、ゲーム機の種類がいくつあって、いまどんなゲームが流行っているか、なんてことは自然に頭に入っているものですが、ゲームに興味がない人にとっては、それを覚えていくだけでも苦痛でしょう。ゲーム好きならではの機能やアイディアがいくつもサイトに反映されています。

「好きだから」だけでも、十分に武器になるのです。


成功するサービスは何が違うのか


タイミングは大事。企画段階でプロモーションの仕掛けが組み込まれていることはもっと大事。

ブームの大波に乗る


成功したWebサービスは、ほとんどといっていいほど、ソーシャルブックマークなどで話題になったり、大手メディアが取り上げて知名度をあげたりと、”ブレイクのきっかけ”が存在しています。プロモーションにお金をかけられない個人(またはベンチャー)のWebサービスにとって、そうしたきっかけは唯一無二のもので、ぜひとも掴みとりたいチャンスです。

どうしたら、自分が作ったサイトをメディアが取り上げてくれるでしょうか。それは、”流行”に乗っかることです。

メディア側の視点で考えてみるとよく分かるのですが、彼らもいま流行しているジャンルの最新情報を届けることで、新たなユーザーを獲得しようと常に考えています。例えば、今ならものすごい勢いで流行を作り出している(というと語弊があるかもしれませんが)、グルーポン系サービスのニュースを流せば、多くの話題を集めることができるでしょう。メディア自体が流行に乗り、流行を作り出しているのです。最近は個人ブログでもその傾向が見られるので、ますます流行に乗ったWebサービスを作ることが大事になってくると思います。

また、最近では伊達直人の匿名寄付が流行っています。もし今、「誰でも伊達直人になれる寄付サイト」というWebサービスがリリースされたら、メディアやマスコミがこぞって取り上げてくれるはずです。Webサービスを作る大義は絶対に必要だと思いますが、こう考えると、割とWebサービスのアイディアなんてなんでも出てきそうに思えませんか。(すでに寄付サイトは存在してたりします)

実を言うと、僕自身は昔は流行に乗っかるのは「カッコ悪い」と天の邪鬼的な考え方をもっていて、流行から外れたものをつくり続けていた時期もあったのですが、今になって思うことは、変なプライドを持たずに素直に流行に乗ったほうが、格段に成功率は高まるということです。幸いなことに、いま個人開発(あるいは少人数開発)のWebサービスというのは、それだけで注目を集めやすいので、「このWebサービスは個人で作ったんですよ!」というのが分かるようにアピールすると良いと思います。メディアは流行に乗った面白いWebサービスであれば、個人開発で多少クオリティが低くても、記事に取り上げてくれることが多いです。

僕はかつて、サッカーくじtotoが始まるちょっと前に、totoの情報サイトを作ったことがありました。サイト名は「totoと稼ぎなさいと(とっとと稼ぎなさい!)」と言いました。ネーミングだけは捻りがきいているものの、サイト自体は数ページしかなく、内容がスカスカだったのです。しかし、タイミングがベストでした。当時大きなトラフィックを生み出していたヤフーカテゴリに登録され、週刊アスキーなどの雑誌にも取り上げられ、多くのアクセスを集めることができました。また、Youtubeマッシュアップサイトがブームの時、僕もブログや2ちゃんねるで話題になったYoutube動画をリアルタイムで探し出せる「NewTube」というサイトを作ったのですが、同じようにヤフーカテゴリや雑誌、有名ブログなどで紹介され、わずか数カ月で月間300万PVまでアクセスを集めるようになったのです。流行の大波に乗ったのです。流行の初期は企業を含めみんなが様子見をしていることが多く、個人開発ならではのスピード感でリリースすることで、そのジャンルで一定の地位を確立できることがあります。


企画段階でプロモーションの仕掛けを組み込む


個人開発のWebサービスで必ずネックになるのが、リリース後に人をどう集めていくかという点で、これは慢性的な持病のように、常につきまとう問題です。大手サイトでも、この問題を常に抱えていると思います。僕は、サービスの企画・設計段階で綿密に検討し、自然と人が集まる仕掛けを組み込んでおく必要があると考えています。これは本当に声を大にして言いたいことのひとつです。どんな斬新なアイディアを思いつくよりも、もっとも重要なことだと思っています。

メディアやソーシャルブックマークなどで一時期ワーッと注目を集めたサービスでも、こうした仕掛けが施されていないサービスは、最初だけ盛り上がっただけで、あとは閑古鳥が鳴くケースが本当に多くあります。僕も嫌というほど経験してきました。

一つ例を出しましょう。僕が作ったWebサービスの中で、RSS代わりに毎日のニュースを確認できるNewSOS.jpというサービスがあります。個人的にこのWebサービスはとても気に入っていて、毎日数回はチェックしにいってしまうのですが、利用ユーザーは1日10人にも満たず、Webサービスとしては大失敗に終わっています。

なぜ、このNewSOS.jpは流行らなかったのでしょうか。

1.各ニュースサイトからRSSをまとめただけで、目新しいサービスでもないので、リリース直後に反響がなかった
2.ニュースのログを残していないので、データがストックされなかった
3.人に紹介する流れが確立されていなかった

といったことが考えられます。この中で、特に2,3は「企画段階でプロモーションの仕掛けを組み込む」ということを意識しているかどうかで、サイトの作りは大きく変わったはずです。例えば、ニュースのログをすべてストックしておいて、日別の過去ログページを作ったり、ニュース記事のタイトルから外部サイトのニュース記事へジャンプという流れだけではなく、ニュース記事のタイトルからニュース記事に関する詳細ページも作るようにしたら、ロングテールSEOが効いて、徐々に利用ユーザーが増えていったことでしょう。あとから作ればまだよかったのですが、残念なことに、データが溜まると運用が大変になるという安易な理由で、最初からログを残さないという選択をしてしまったために、貴重なデータをみすみす捨ててしまったのです。さらに、SEOが効いていれば新規ユーザーに対して、Twitterと連携したコメント機能をつけたり、Facebookの「いいね!」ボタンをつけることで、そこから人に紹介する流れができたはずです。実は、このサイトは人が集まることでニュースランキングができるちょっと面白い機能がついていたのですが、ほとんど機能せずに失敗してしまいました。

もう一つ例を挙げます。僕が運営するゲームブログランキングは、参加ブロガーのブログにランキング用のバナーを設置してもらって、そのバナーがクリックされた回数に応じて、ランキングの順位が上がっていくという古めかしいシステムなのですが、この仕組みはブロガーも読者もサイト側も、恐ろしいくらいにすべてがうまく回るように設計されているのです。

詳しく説明すると、ブログランキングの順位が高いほど、ブログへのアクセスが高まります。アクセスを集めたいブロガーはランキングを上げるため=ランキングポイントを増やすため、ブログランキングのバナーを読者にクリックをしてもらうように目立つ位置にバナーを設置します。(毎日1回クリックをお願いするブログも多いです。)読者はブログバナーをクリックして、ブログランキングサイトに訪れます。そこでランキング上位のブログを目にして、今度は別のブログに訪問していくというサイクルでブログランキングに人が集まってくるのです。読者の中には当然ブロガーもいるので、自分も参加してアクセスを集めようと参加ブログが増えていく・・・という好循環に入っていくわけです。1年半前にリリースしたゲームブログランキングの場合、すでに14,000ブログが参加しているので、いまは特にプロモーションをすることなく、放っておいても毎日ブログの登録があります。

この2つの例のように、企画段階でユーザーが自然と増えていく仕掛けが施されているかどうかで、リリース後のユーザーの増加ペースが大きく変わってきます。

ブログパーツも似たようなもので、利用ユーザーのブログに設置してもらうことが、実はすでにブログパーツ自体の宣伝になっていたりします。greeやモバゲーのようにポイントに価値を持たせて、ポイント目当てで友だちを招待させていますし、ニコニコ動画のように投稿者が動画やコミュニティの宣伝(=ニコニコ動画の宣伝)をしてくれる仕掛けを自然に組み込んでいたりと、大手サービスほど上手に仕掛けが施されています。

ちなみに、Twitterと連携したサービスはこういった仕掛けが施しやすいので、これからもヒットするTwitter関連サービスも多く出てくると思います。Twitterは面白いツイートをフォローワーに伝えていく「リツイート」という独自の文化を生み出しましたが、たったひとりのつぶやきがバイラルで一気に広がる可能性があるのは、個人開発者にとってはとても魅力的です。例えば、診断系サービスは、単純に結果を見てもらうだけでなく、自分のフォローワーさんたちに見てもらい、それを見たさらに周りのフォローワーさんたちに伝わっていく・・・という流れで大勢の利用者を集めています。しかも、自分で手間暇かけて作った「診断」は友だちに使ってもらいたいのが人情というもの。ユーザーがそのユーザーの友だちを呼びこむ設計になっているのも見事というほかありません。

Twitterに限らず、mixiFacebookなどでもバイラルが広がる仕掛けは行えます。また、ロングテールSEOを意識したサービス設計や、招待制にするなどメールをうまく絡めたものなど、プロモーション手法は無数にあるので、そのWebサービスにマッチした仕掛けを企画段階から取り入れておくと、グッと成功率が上がってきます。



外さないサービスの実例と僕の実体験


誰もやっていないことをやる。泥臭く続ける

誰もやりたがらないことをやる


Webサービスは”サービス”という言葉が含まれているように、基本的にWebサービスを使うことで、利用ユーザーに効用や満足などを提供するものであるはずです。そのサービスを使うことで、「便利になる」「勉強になる」「ひまがつぶせる」など、何らかのメリットを与えてくれるのです。そう考えると、誰もがやりたがるようなサービスよりも、誰もやりたがらないようなサービスほど、貴重で価値が高くなるのは自然の法則です。仕事でも、クリスマス・イヴのコンビニのアルバイトは特別給がでますし、極端な例ですが、新薬の実験台のアルバイトもリスクが高く、誰もやりたがらないから時給が高いのです。

Webサービスも同じことが言えます。僕がこのことを強く感じたのは、Ustreamニコニコ動画などの動画コンテンツを文字に書き起こすWebサービス「書き起こし.com」を作った時です。長い時で5時間もの動画を、ひたすら人の手でテキストに書き起こすという途方も無いサービスで、10分の動画を書き起こすのに1時間以上も掛かる大変な作業が待ち受けています。しかし、その労力に見合うように、孫正義氏の光の道の動画を書き起こしたときには、1日に数万人の読者が押しかけサーバーがパンクするほどの人気でした。誰もやりたがらないが、誰かがやってくれたらこれほど便利なものはない、というわけです。余談ですが、現在の書き起こし.comは、ブログ形式で人の手による労働集約型ですが、昨今の音声認識技術の発達が目覚ましいので、将来的には自動的に書き起こしを行うような仕組みを考えています。

誰もやりたがらないサービスは、逆にいうと、コストやリスクが高い割に、当面のビジネスモデルが見えないことが多く、大手が参入しづらいというメリットもあります。

ユーザーのムダな時間を短縮する


忙しい現代において、”時間を短縮してくれるWebサービス”は外さないサービスの代表格でしょう。その筆頭はGoogleをはじめとした検索サービスで、10年ほど前までそれほど注目されてなかったのにも関わらず、もはや検索なしではインターネットが成立しないほど、なくてはならないサービスになりました。検索サービスが、いったいどれだけの時間を短縮してきたかを想像すると、それは「みんなが利用するサービスになるよね」とため息が出ます。「時間短縮」は技術の進化にもそのまま当てはまるので、今後も普遍の法則に思えます。交通手段の移り変わりを例にとると、馬車から車、列車から新幹線、飛行機など、よりスピーディに”時間を短縮”して目的地につくことが、技術の進歩であり、利用者からの価値になるのです。

さきほど紹介した「書き起こし.com」も時間短縮系のWebサービスといえるでしょう。まともに視聴したら数時間かかるような動画が、テキストを読むだけで、ほんの十分ほどで内容を把握できてるので、素早く動画の内容をチェックしたい人たちに絶大な需要があります。

誰も言わない泥臭い面がかならずある


洗練されたWebサービスの面の部分だけを見ていると、裏側もシステマチックに動いているイメージになりがちで、実は裏側では地道な運営やプロモーションに汗を流していることは、あまり伝わらないかもしれません。

例外はありますが、僕がこれまでお会いしてきた50人以上のWebサービス開発者たちの話を聞いていると、意外とどこも泥臭いことをやっていたりします。

僕はゲームブログランキングのプロモーションにゲームブロガーを集めるために、1日100通以上のメールを1通1通文面を作って、数カ月間自分の手で送っていました。効果が高かったので、あとで、別の人間にお願いしてその後1年間は休みなくずっと続けていました。いま考えると、もっとスマートな方法もあったかもしれませんが、当時は日本でこんなこと誰1人もやってないから、だからこそうまくいく、と自分に言い聞かせてやってたのを思い出します。


僕が考える究極のWebサービスとは


プラットフォームを用意し、そこに人を集め、価値あるデータを集める。

ユーザーが集まる場所や仕組みを提供する


僕は、ユーザーが集まる場所や仕組みを提供するという思考は、Webサービスの定義にも繋がる考え方だと思っています。大きく二つに分けると、コンテンツを仕組みやシステムで自動的に作るのか、運営者が動いて作るのか、ということに集約されます。Webサービスはシステムが自動的に動くことで、”ユーザーが集まる場所や仕組みを提供すること”であると考えています。

個人開発の場合は、いかに運用の手間を減らして成り立たせるか、という点を念頭に置いてアイディアを捻る必要があります。運営者がコンテンツを作り出すために時間が多くとられるようなものだと、リソースが足りずに運営で破綻したり、労働集約型になるのでスケールしづらくなります。そのため、リリース後の運用フェーズでできるだけ手間がかからないようなWebサービスの設計が理想的なWebサービス像となるでしょう。そうなると、狙いどころはやはりCGM(コンシューマー・ジェネレイテッド・メディア)になるでしょう。ユーザーが自ら進んでコンテンツを作っていくようなもの、例えばブログだったり、例えばSNSだったり。また、自動的にシステムが動くようなものだったりするもの、いわゆる「プラットフォーム」を作り出すということが命題になるのです。2ちゃんねるYoutubeCGMですし、僕が開発したQ&Aなうもユーザーたちが質問、回答を行うプラットフォームになっています。


データが溜まると価値が高まるもの


僕が理想的なWebサービスのひとつとして、普段から周囲に公言しているクックパッドを例に出してみたいと思います。ご存知のように、クックパッドは料理のレシピをユーザーに投稿してもらい、ランキングをつけ、食材などから検索できるWebサービスです。もうすぐ100万投稿に届こうかという巨大な料理レシピのデータベースは、利用ユーザーから無償で投稿されています。クックパッドが凄いのは、毎日の生活に欠かせないテーマで、かつ半永久的になくならないであろう料理というジャンルで、さらにそのデータベースに賞味期限がないことです。

例えば、車のデータベースを思い浮かべてください。車の情報を探すときに、通常のユーザーは新車情報に注目し、過去の車は一部のファンが調べるものになってしまいますが、クックパッドの場合、10年前のハンバーグのレシピと10年後のハンバーグのレシピで同等の価値をもつのです。そうすると、ハンバーグを検索したときに、10年前は1件しかヒットしなかったのが、10年後は1000件ヒットして、その中でみんなが美味しいといっているハンバーグのレシピは、より美味しく、より手軽にハンバーグができるレシピが見つかるようになるのです。いつ投稿されたかという時間に関係なく、データが溜まれば溜まるほど、ユーザーによりよい情報を届けられるようになる、というまさしく非の打ち所のないWebサービスなのです。(そう書いていたら、楽天レシピが話題になっていました。やはりこのサービスは魅力的なのでしょうね)

僕が、Webサービスを考えるときには、できるだけこの「人が増えたりデータが溜まっていくことで価値が高まるもの」という要素を入れるようにしています。先の例でも出した、ゲームブログランキングでは、参加ブログが集まれば集まるほど、ランキングページへのアクセスが増え、アクセスを集めたいブロガーたちにアクセスを還元することで、サイト自体の価値が高まるようになっていますし、Q&Aなうも、参加者が集まるほど回答がつきやすくなって、サイトの価値が高まっていくようになっています。

ちなみに、SNSなどのネットワークを活用したWebサービスも、人が集まるほど価値が高まっていく性質のものです。ご存じの方は多いでしょうが、ネットワークの参加者が増えれば増えるほど、ネットワーク価値の成長曲線は二乗(に近似した曲線)で増えていくそうです(「メトカーフの法則」)。たしかに、mixiFacebookなど、友だちが参加すればするほどアクセスする頻度が増え、自分にとって居心地のいい場所になり、やがて生活に欠かせないものになっていきます。

このようにデータが溜まれば溜まるほど、人が集まれば集まるほど、サービスの価値が上がっていくものは、今後インターネットの歴史が経てば経つほど、その価値も増していくと僕は確信しています。


番外編.サービスを作ることと、稼ぐは別物 - アフィリエイトに取り組んだら売上が月3,000万円になった話


最初にお断りをしておくと、アフィリエイトはインターネットとお金を繋ぐ素晴らしい仕組みの一つで、多くのWebサービスがアフィリエイトで成り立っていると思います。ただ、売上を重視すると、Webサービスはそれに特化した形になるので、僕自身は別物という意識でいます。そんなことを前提に読んでいただければと思います。あと、わりとお金の話はタブー的な空気がありますが、それはそれで健全でない気もするので、あえて書いてみたいと思います。

僕が目標とするWebサービスとは少し離れてしまうのですが、Webサービスを作る目的のひとつとして、副収入やお小遣い稼ぎという人も多いと思います。そんな方向けに、昨年、僕が休みを利用して実験的に作ったWebサービスの実例を紹介したいと思います。それは、FF14-PCというサイトです。

昨年リリースされたファイナルファンタジーXIVというオンラインゲームがあります。リリースの数ヶ月前、発売元のスクウェア・エニックスから、ファイナルファンタジーXIVは超ハイスペックのパソコンでしか遊べないという発表がされました。僕はこれを見たときに、(1)大人気シリーズであること、(2)パソコンを買い替えたとしてもゲームを遊びたいユーザーが少なくても数万人いることから、かなりのユーザーがインターネット上で「ファイナルファンタジーXIVが遊べるパソコン」を探すだろうと想像しました。ユーザーはいろいろなBTOサイトにいって、パソコンの比較検討することを強いられるので、その情報をひとまとめにした横断検索サービスは高い需要があるだろうと考えました。

一方で、BTOショップは、前作のFF11同様、「ファイナルファンタジーXIVが遊べるパソコンがあります」という売り出し方をしてくるだろうと想像しました。そして、この絶好のチャンスにかなり気合を入れて広告出稿を行うだろうと思いました。その時にショップはどんなサイトに広告を出したいか、とも考えました。答えはひとつ。つまり、「ファイナルファンタジーXIVを遊ぶためにパソコンを購入したいユーザーがたくさん集まるサイト」であること。さらに言うと、検索エンジンで「FF14+パソコン」や「FF14+推奨パソコン」などのキーワードでやってきたユーザーたちは、ファイナルファンタジーXIVでパソコンを購入する直前の見込客になるはずです。検索で訪れたユーザーに、ファイナルファンタジーXIVが遊べるパソコン情報が横断検索ができるサイトは、便利だし、何より自分が使いたいサービスに思えました。

アフィリエイトサイトなので、パソコン情報のリンクはすべて各BTOショップのアフィリエイトリンクになっており、このサイト経由でパソコンを購入すると、成果報酬で売上の数%が収益になります。やってみて分かったのですが報酬料率は売上に応じて変動します。FF14-PCは狙ったキーワードでも上位表示をとれたので、パソコンの売上で月間3,000万円を超え、パソコンメーカーやショップから純広告も入りました。

このサイトは多くのアクセスを集めているわけではないですが、ユーザーの潜在ニーズを的確につかんだサイトを作り、そこにアフィリエイトを組み込むことで、成功したひとつのモデルといえます。ターゲットとなるユーザーの行動を想像し、ストーリーを組み立て、どのポイントで不便に感じたり、つまずいたりするかを深くシミュレーションすることが、ターゲットユーザーの行動を読み取るためのコツです。

このサイトでの発想は、いかにアフィリエイトリンクを踏ませるか、とういう視点になりがちで、本当の意味で素晴らしいサービスがなのかと言われると自分でもクエスチョンだったりします。(両立しているサイトもあるでしょうが)良いサービスを作ることと稼ぐことは別の視点が必要なんだな、ということを学びました。

ユーザーの行動を読み取るという意味で、少し話が脱線するのですが、最近僕が感心したサイトがあったので紹介します。

ハピリオというカップルに特化した交換日記サービスがあります。一見すると何の変哲もないサービスですが、けっこう収益が上がっているそうです。登録は無料なのになぜ?カラクリはこうです。交換日記をWeb上で行うほどアツアツのカップルでも、ときには大喧嘩して、別れ話になったりします。その時にWeb上に残ってしまう交換日記は即刻削除される対象です。日記は簡単に削除できるようになっています。ところが、そもそもアツアツのカップル、たいていはそんな大喧嘩をしても、仲直りして再び交換日記を始めようとするのだそうです。ところが、削除したデータを復旧させるのは・・・そう、ここでお金が掛かる仕組みになっているのです。

ユーザーの行動があまりにも読まれすぎていて笑ってしまうほどですが、実際に、企画段階からここまでユーザーの行動を読んで、キャッシュポイントを設定したアイディアは感動すら覚えたので、ここで紹介させていただきました。


冒頭にも書きましたが、このエントリーを呼んでもし自分もWebサービスを作りたい!とやる気が出てきたデザイナーやプログラマー、その他これからWebサービスをつくろうと思っている方、3度の飯よりWebサービスが大好きな”僕ら”と、一度話をしてみませんか?毎週、日曜日(10時〜24時)に東京・立川でWebサービスの開発合宿を行っています。もし、興味がある方がいましたら、@paji_a か hajimeataka[at]gmail.com までお気軽にお問い合わせください。



以上、長文かつまとまりのない話でしたが、今回はWebサービスの企画フェーズを中心に書いてみましたが、また機会があれば、お仕事として取り組んだWebサービスなどについても、色々書いてみたいと思います。今年も素晴らしいWebサービスがたくさん個人開発者から生まれることを期待して。ありがとうございました。今年もどうぞよろしくお願いします。

Q&Aなう 安宅基



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