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解説系YouTuberが思いついたことを書きます

Zoom超進化、ビデオ会議を超える新サービスZapps/OnZoom+連携アプリ10選

withコロナ時代、リモートワークの代名詞となったビデオ会議ソフトのZoomですが、時代の後押しもあり時価総額が15兆円を超え、すでに1日3億回ものミーティングが行われているグローバル・サービスへと一気に成長してきました。

そんなZoomが近頃発表した2つの新サービスは、ビデオ会議のインフラをガッチリ抑えようとする非常に野心的な戦略になっていて、GAFA的なグローバル・プラットフォームを狙いに来ていることが明白になってきました。

利用者はもとより、連携するサードパーティアプリも画期的なサービスも多く、インターネットに関わるビジネスパーソンや企業なら、知っておいたほうがいい内容となっているので、私なりの見解も交えながらブログにまとめてみようと思います。


目次:
新サービス「OnZoom」と「Zapps」とは
連携アプリ10選
 - 60秒の心の休憩「Thrive Reset」
 - サプライズに最適「Cameo」
 - AIと人手で文字起こし「Rev」
 - 仮想ホワイトボード「Miro」
 - 一流講師によるオンライン講座「Live2Coursera」
 - リアルタイムフィードバック「Dot Collector」
 - エクササイズリモートコーチ「Exer Studio」
 - 営業担当育成支援「Gong!」
 - ゲームベース学習「Kahoot!」
 - 自分そっくりなアバターに変身「LoomieLive」

 

 

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■ 新サービス「OnZoom」と「Zapps」とは

2つの新サービスは「OnZoom」と「Zapps」と呼ばれています。まずは、「OnZoom」について解説します。さきにこのベータ版のサイトを見ていただくのが一番理解しやすいと思います。

OnZoom: A marketplace for immersive experiences 

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ギターなどの楽器、瞑想、ストレッチ/エクササイズ、料理などのレッスン動画が並んでいて、イメージ画像でなんとなくどんなサービスかは把握できると思います。ページの中に入っていくと、こんな感じでレッスンごとの視聴料金が表示されています。

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勘の良いかたなら、ピンときたかもしれません。そうです、OnZoomは、こうしたリモートによる「◯◯教室」「◯◯講座」などのレッスンを有料で販売できる場所なんです。もちろん一般の方が動画配信することで、収益をあげられるようになっています。オンラインセミナーやイベントなどでも活用できるようです。

いまはベータ版かつ、ジャンルもレッスン中心で、英語でしか展開されておらず、会員登録や配信者の登録もアメリカに限定されているようですが、今後、だんだんとジャンルや言語や地域は広がっていくと思われます。

3密になりがちなレッスンも、コロナの影響で、リモートで配信することを余儀なくされています。ただ、いざリモートでやってみたら、意外と移動時間もかからず好評だったというようなケースもあり、今後もコロナが流行している季節は、リアルとリモートをうまく行き来しながら運営されていく教室も増えるかもしれません。

しかもオンラインレッスンになれば、地方にいたとしても、お気に入りの先生で距離の壁がなくなりますし、いちどに開ける人数も、もしかしたらリアルなら10人が限界のところが100人、1,000人単位と、場所という制約がない分無限の広がりを見せられるかもしれません。

この「OnZoom」では、1回限りの単発配信として販売することも、サブスクに近い概念で”シリーズ”といわれる複数回課金で定期的な配信を行うこともできるようです。おそらく月額課金に対応することも間違いないでしょう。こうなってくると、オンラインレッスンだけでなく、オンラインイベントを行いたいアーティストや、YouTuberで活躍する動画クリエイターがYouTube以外でも収益化ができる道が広がってくることにも繋がります。有名人が毎週1回顔出しでファンと交流する、オンラインサロンやファンクラブ的な使い方もできるようなるでしょう。

このあとに紹介するZoomの新サービス「Zapps」にも繋がりますが、YouTubeとZoomが決定的に違うのは、Zoomはビデオ会議というインタラクティブな双方向コミュニケーションをベースとした動画配信の仕組みになっていることです。YouTubeは、テレビに近く、配信者に対して視聴者が受動的に情報を受け取る受け身の関係です。

ZoomとYouTubeは同じ動画のプラットフォームですが、スタート地点も違えば、目指すゴールも違う関係なのです。コミュニケーションの手段や濃さでいうと、Zoomの場合、動画内で画面共有をしたり、チャットしたり、ホワイトボードをつかったり、ブレイクアウトルームで部屋を小分けにしたり、「グッド👍」などスタンプを送れたりと、より配信者と視聴者の距離が近くなれるZoomは、独自のポジションを築く可能性が出てきています。

「OnZoom」は、まだ日本では配信者登録はできないようなのですが、配信者登録時には有料プロ版以上のプランの契約が必要で、一定質の高い配信者が集まってくると思われます。英語版がうまくいけば日本語対応も近いうちに行われるのではないでしょうか。

 

続いて、先日Zoom社から発表された「Zapps(apps in Zoom)」についてです。

Zoomの「Z」と「Apps」を組み合わせた、Zoom対応アプリという意味だそうなのですが、Zoom上でアプリを直接連携するための仕組みになります。利用者はデスクトップ上で複数のアプリを行き来する必要がなくなり、Zoom上だけで完結する連携機能になります。

Zoomはビデオ会議ソフトとしてとても優秀で、ビデオ会議を行うときに便利な機能も充実しています。例えば、ホワイトボードやチャットや投票機能など、Zoom自体が提供しているのですが、実際には、専門としているアプリに比べると機能が貧弱だったり、使い勝手が悪かったりしますよね。

Zoom社は「餅は餅屋」と考えたのでしょう、Zoom以外の外部でイケているサービスと連携をより強化して、Zoom上でイケているアプリ(=Zapps)としてZoomから離れることなく使えるようにするように方針を決めたのだと思います。

すでに30を超える有力アプリとの連携が発表されている「Zapps」は、2020年10月末現在、まだ利用はできないのですが、年内には使えるようになると予告されています。ほとんどが英語のアプリになりますが、日本人でも直感的に使えそうなアプリも多いので、普段からZoomを仕事やプライベートでたくさん使っている方に役立つことうけあいです。

 

■ 連携アプリ10選

連携が予定されているアプリを見ていると、まだ日本ではほとんど知られていない新しいアプリもいくつかあり、Zappsによってより加速していく可能性が高いと感じました。その中でも、これは日本でもあったらいいのにというZappsも多数あり、厳選して10個をピックアップして紹介します。起業のネタとしても見てみても面白いと思います。 

Zoom連携アプリ10選、その1は、 60秒の心の休憩「Thrive Reset」です。

リモートワークになって、仕事でもプライベートでもビデオ会議ばかりしていると、移動時間がない分、立て続けにミーティングを入れることができて、リアル会議と違って心をリセットするタイミングがなかったりして、逆に忙しくなった、精神的に余裕がなくなった、という「Zoom疲れ」も起こっている人もいるようです。

そんなときにこのスライブ・リセットはヒーリング音楽や映像とともに60秒間の休憩をうながしてくれる、「癒やし」系アプリなんです。こちらの動画をご覧ください。


Thrive Reset Zapp Demo

癒やしの映像と音楽で、心のリセットができますよね。Zappsが使えるようになったら、私もまっさきに入れてみたいアプリのひとつで、ズーム上で起動して、60秒間の休憩をすることで、頭をスッキリさせて次の切り替えがしやすくなると思います。

Zoom連携アプリ10選、その2はサプライズプレゼントサービス「Cameo」です。

Zoom飲みの延長で、直接リアルでは会わずにに、友だちの誕生日会や結婚式をZoomで行う、といったこともwithコロナ時代には増えてきていると思います。そんなお祝い事に、気の利いたプレゼントのひとつとして発明だなと思うのが、この「Cameo」です。

憧れの芸能人やアーティストからあなたのためだけに撮影したメッセージが送られてくる、そんな夢のような話が現実になったアプリが「Cameo」なんです。こちらの動画をご覧ください。


Cameo Zapp Concepts

いかがですか?これをサプライズで仕掛けたら、印象深いお祝いになること間違いなさそうですよね。いまは英語圏のみにサービス展開しているようですが、ぜひ日本でも欲しいサービスの一つです。

 

Zoom連携アプリ10選、その3は議事録いらず文字起こしアプリ「Rev」です。

ビデオ会議のメリットのひとつに、デジタル上での話なので、AIによってテキストに書き起こしがかんたんにできてしまうことです。この動画をご覧ください。


Introducing Captions & Transcripts Zapp by Rev

AIによって自動的に文字起こししてくれます。精度が気になる場合は、AIの文字起こししたテキストのブラッシュアップを人の手によって行うサービスなのです。日本語もばっちり対応していますので、例えば重要な会議で議事録がわりにすべての発言を文字起こしして、出席できなかった人たちに回覧したり、内容のつまったリモートのパネルディスカッションなどでも活用すると、そのままテキストの記事やコラムにできるなど、さまざまな活用方法があると思います。

 

Zoom連携アプリ10選、その4は仮想ホワイトボード「Miro」です。

Zoom備え付けのホワイトボード機能は、あってありがたい機能ではあるのですが、率直にいってしまうと、専門の仮想ホワイトボードのアプリに比べて機能が貧弱だったのです。そこで登場するのが「Miro」です。こちらの動画をご覧ください。


Miro Zapp for Zoom

さすがに専門的に仮想ホワイトボードを作っている会社だけあって、やりたいことがなんでもできそうな充実ぶりですよね。しばらくは英語のメニューになりそうですが、ホワイトボード自体は言語は関係なく直感的に使えるはずです。

こんな便利なアプリをZappsならZoomからスムーズにつかえてしまうので、ビデオ会議でホワイトボードを使いこなしている人は、ぜひ使ってみてください。



Zoom連携アプリ10選、その5は一流講師によるオンライン講座「Live2Coursera」です。

Courseraをひとことでいえば、オンライン上の大学というイメージです。ビジネスにつながる専門的な講座を一流の講師が教えてくれるというものです。スタンフォード大学、イェール大学など世界的に有名な大学が講座を提供していて6,000万人以上がすでに学習しているという、まさに社会に役立つ講座が充実しています。1つの授業はおよそ10分程度で視聴でき、1講座は約4~6週間で修了します。

Zappsになることで、Zoomから直接こうした講座を講師と生徒がリアルタイムにコミュニケーションしながら受けることができるということです。こちらの動画をご覧ください。


Live2Coursera Coming Soon as a Zoom App

講座の内容は無数にあり、英語、フランス語、中国語といった言語学習、データサイエンス、コンピューターサイエンス、サイバーセキュリティなどのIT分野、事業戦略、マーケティング、ファイナンスといったビジネス分野など、実戦で役立ちそうな講座になっています。

地域や時間に縛られずに誰でも世界トップレベルの授業を受けられるなんて、率直にすごい時代になったなと思います。

 

Zoom連携アプリ10選、その6はリアルタイムフィードバック「Dot Collector」です。

Zoomでなにかの発表を行ったときに、コンテストのような感じで、審査員のフィードバックを行ったりするときにこのDot Collectorを使うと、リアルタイムに、どんな点が良くてどんな点が悪かったのか、Zoom参加者がリアルタイムにフィードバックしあえるというアプリです。こちらの動画をご覧ください。


Dot Collector to be made available for use on Zoom

いかがですか?例えば、大事なプレゼンテーションを行うときに、社内のメンバーに練習で、「聞き取りやすさ」や「感情表現」がよかった、悪かったなど、項目を設定して、評価してもらったり、オンラインセミナーなどで、参加者が発表をおこなって、それに対して、グッド・バッドなどレビューを行うようなときに重宝すると思います。



Zoom連携アプリ10選、その7はエクササイズ・リモートコーチ「Exer Studio」です。

withコロナで家にいる時間が増えて、リモートワークで出勤することも減ってしまうと、運動不足にもなります。そこでいまホットなのが、オンラインエクササイズです。Zoom越しに同じ時間帯にグループでリモートコーチとトレーニングすることで、継続するモチベーションをあげてくれるサービスがZapps化されるということです。こちらの動画をご覧ください。


Exer Studio - Workout summaries, leaderboards and real time effort tracking for remote workouts.

エクササイズやトレーニングってモチベーションを維持して継続することが難しいのですよね。だから、ジムに通ってグループみんなで高めあっていくと継続して効果が出やすくなるわけですが、これを自宅にいながらにして行えるということですね。動画のシーンであったように、各人のパフォーマンスを数値で確認できるので、切磋琢磨しながらエクササイズができるアプリをZoomと密に連携できるようになるということです。



Zoom連携アプリ10選、その8は営業担当育成支援「GONG!」です。

withコロナ時代の営業は、飛び込みではなく、Zoomでリモート越しに営業するときことも増えてきています。営業のやり方が変わってきている中、「GONG!」は、営業時の会話を分析して営業担当者の育成ができるんです。こちらの動画を見ていただければ、イメージがつかめると思います。


Gong Zapp - Zoom App for Gong

リモート営業を促進させるという新しいマーケットで、日本でも起業のネタにもなりそうな革新的なアプリだと思います。



Zoom連携アプリ10選、その9はゲームベースの学習プラットフォーム「Kahoot!」です。

こちらはアンケート機能を進化させたクイズ形式でオンライン学習の理解度をはかったり、アンケートを取れたりするアプリです。こちらの動画をご覧ください。


Kahoot! + Zoom: Introducing the Kahoot! Zapp

Zoomについている投票機能はわりと高機能なのですが、操作がわかりづらかったりちょっとつかいづらいところもあるんですよね。Kahoot!を使えば、かんたんにクイズやアンケートが取れるので、例えば、オンラインセミナーが面白かった人の回答やフィードバックをもらいやすくなります。

ちなみに、先に紹介した「OnZoom」を組み合わせると、例えば、クイズ王と戦える有料クイズ大会などもできそうで、こうしたZappsによって、Zoom活用の機会がもっと広がっていくことが予想されます。


Zoom連携アプリ10選、その10は自分そっくりなアバターに変身「
LoomieLive」です。

こちらはもう動画を見ていただければ一発でなにができるか理解できると思います。


LoomieLive Zapp for Zoom

背景も雰囲気にあわせてくれますし、表情も伝わるので、半分顔出ししていて表情を伝えられるというのは便利そうですね。個人的な事情でいうと、私はコンタクトレンズをつかっていて、普段はメガネで生活しているんですね。お化粧をするわけではないのですが、打ち合わせや外にいくときの顔はちょっと作る必要があって、ちょっとしたミーティングのときにコンタクトレンズをいれるのってちょっと億劫なんです。

そういうときに顔出しをしないのもちょっと気まずいなら、自分そっくりなアバターに変身「LoomieLive」は最適ではないでしょうか。

 

・・・

 

日本人だとあまり見慣れないサービスが多かったかもしれませんが、まずは英語圏から始まっていくので、その動きを見ながら、日本でもたくさんのアプリが連携されていくことでしょう。今後に期待したいと思います。

こちらの記事がみなさまのお役に立てましたら幸いです。2020年元旦から、YouTubeで解説動画『パジちゃんねる』もはじめてみたので、よろしければご覧ください。ではまた。 

続・YouTube動画がバズる仕組みを攻略(仮説『ジュース理論』)

前回、YouTubeロジックを攻略する「動画がバズる仕組み(仮説『ジュース理論』)」の記事を投稿したら、わりとマニアックな記事にも関わらず、Twitter経由で1万人以上も記事を見てくれたようで、本当にありがとうございます。今回はその続編にあたる内容になります。

今回も気合を入れて書いたので、長文につきお時間のあるときにじっくりご覧ください

 

 

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まずは、前回提唱した『ジュース理論』を裏付けるデータを共有したいと思います。『ジュース理論』の詳細はこちらをご覧ください。

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■ 『ジュース理論』の実践例

上記の画像は、『パジちゃんねる』とは別のチャンネルのデータです。開設2ヶ月経過でまだ累計で3本しか動画を配信していません。ただし、平均維持視聴率はご覧の通り50%-90%と満足度の高い動画に仕上がっているため、(ブレが大きいのですが、)じわじわとミルフィールのように視聴回数が積みあがって、徐々に視聴数や(純度の高い)登録者数が増えていっています。

『ジュース理論』の実践で大事なのが、初期は純度の高い視聴者を集める絞り込みです。最初に企業的プロモーションなどで、ジャンル関係なく間口を広く獲得してしまうと、このチャンネル登録者たちに「動画更新通知」が飛んでしまうことで、本来はポテンシャルの高い動画だったとしても、YouTubeの神には「満足度の低い動画」と判断されてしまうことがありえるということです。特にチャンネル登録者は、一般的にはそのチャンネルのファンだから登録するものなので、YouTubeの神に”勘違い”を起こさせるリスクが高いと考えています。 

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その状態に陥ると後戻りできない(あるいはかなり厳しい)不可逆で、チャンネル開始時によくよく考えて、そのニッチジャンルと純度の高いファンを獲得しながら、途中でいかに広げていくか(あるいはピボットするか)を決めるという順序で進めるのが大事なのだと思います。

ただ、登録者を集めていないうちは挽回がききます。実際に、『パジちゃんねる』の例では、最初にわりとまびろにいろいろなテーマで展開して当たりを探っていました。途中で相性の良いジャンルを見つけてからは、同じジャンル・テーマの動画だけで展開して、純度の高い登録者たちに満足度の高い動画を配信する(クリエイター視点でいうとちょっとめまいがするかと思いますが、私の場合、目的が特殊なのでご勘弁を)といった順番でも成り立つと思われます。

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上記の画像は、3本ある動画の1本の視聴数の推移です。30日間かけて2万回視聴とジワジワと再生回数を伸ばしてきています。ニッチキーワードの選定時に、このジャンルには一定量の『ジュース』があることは分かっていましたが、投稿当初は正直どこまで再生数が伸びるかは未知数だったため、投稿して最初の1週間は動画の満足度が高いのに、YouTubeの神は見てくれているのだろうかと少しだけ不安になりました(ちなみに、初日の平均視聴維持率は90.1%でしたが、再生数はわずか17、インプレッション数も85でしたので、この不安感は伝わるでしょうか)。

ただ、その後、1日毎にしっかり再生の『ジュース』を流し込んでくれることが分かってきて、いまはおそらくこのペースだとあと数ヶ月かけて5万〜10万再生は固いという確信をもてるようになっています。

■ チャンネル開設をしてから何をすべきか

私は、YouTubeはこれから本格的にトレンドが来ると思っているので、まだ世界がYouTube化していない今は、実は黎明期くらいなんじゃないかという感覚でいます。そんな前提にたつと、5Gやwithコロナもあいまって、これから個人がYouTube上でチャンネルを開設していく流れが加速してくと思います。これは実名文化は日本にはなじまないと言われたFacebookや、著名人含めあらゆる業界人やそのファンがTwitter/Instgramに流れていったトレンドとまったく一緒です。

そんな流れで、YouTubeチャンネルを作っていく時に、仕事でプライベートでもこれからチャンネルをどう盛り上げていくか、誰もが悩むと思います。

私はチャンネル開設当初の考え方は、その時点のコンテンツの状況によって大きく2つに分かれると思っていて、

  1. 他メディアでも人気がある
  2. メディア露出ははじめの取り組み(あるいは人気がそこまでない)

という切り分けで考えると良いと思っています。

 この中で、1の「他メディアでも人気がある」場合は比較的シンプルです。これまでのメディアで読者や視聴者が何に魅力を感じていたかを、「映像」という複合的な表現でどう魅力を最大化するか、ということに尽きます。

ほんだのばいく」はこの1の良い例でしょう。女優として活躍しつつ、2018年9月にYouTubeチャンネルを開設、投稿本数11本で登録者200万人。このチャンネルはご本人が動画の編集まですべて制作されていると聞いていますが、自己プロデュース力が凄まじいなぁと思うのです。バラエティでも活躍できる女優としての実力はもとより、ルックスに見合わないガチゲーマーだったり、色々な魅力がある本田翼さんですが、女優やテレビに出ていない素で自然体の本田翼さんはこれまで未知の姿でした。その魅了xこれまで未知の部分を最大限発揮されたチャンネルに仕立てて、プロフェッショナルな映像でも、先鋭的な企画でもない(おそらく制作費もほんとうにわずか)のに、このファン数を一気に取り込んでしまったのですね。

YouTubeというアマチュアが集い、(目が肥えていない)視聴者が集まる場所に対して、ごりごりのかっちょいいPVやMVを作ったりして「どや」とやるのではなく、テレビやプロレベルからは何段階も品質や目線を落とした動画作りを、自然体でやってのける、これが「他メディアでも人気がある」人が一気にYouTubeという場所で適応できた理由だと考えます。

これからYouTubeもプロフェッショナルがもっと入ってきて、二極化していくとは思いますが、いい意味で視聴者は信じられないほど「ゆるゆる脳」でYouTubeサーフィンという時間を過ごすので、そこに格式張った姿勢で取り組んでも、「幼稚園のお遊戯会にプロ劇団がやってきてみんなしらける」みたいなことになるのですね(ただし、他のメディアから元からいたファンが呼び込めれば、もともといた場所のクオリティとの一致がしやすくはなる)。歴々のクリエイターにとってきついのは、そういった力を抜いた仕事が喜ばれる視聴者、動画の編集もプロになりきらないほうが伸びる、というのは、「創作活動のプライド」との兼ね合いで、どうしても妥協できなかったりするわけです。

 2の「メディア露出ははじめの取り組み(あるいは人気がそこまでない)」は、私を含めてほとんどの方がカテゴライズされるケースかと思います。この中でも正解ルートはいくつもあると思いますが、私がここまで検証してきたデータからひとつ確実に言えるのは、「時間をかけてでもニッチジャンルで満足度の高い動画を作ることだけに集中する」です。

これは『ジュース理論』で得られた(YouTubeというプラットフォームが築いているビジネスとクリエイターを同じ方向性に向かわせるための)インサイトに基づくもので、YouTubeチャンネルの運営者になったら、まずは、どんなジャンルでNo.1になるかを考えていくべきと思います。客観的に見て、そのジャンルでNo.1になれないとしたら、もっと絞り込んだジャンルでNo.1になる、あるいは別のジャンルを探して見る、ということです。

VTuberで言えば、VTuberという表現の文脈に乗っているだけでなく、ゲーム実況なのかライブ配信なのか、ゲーム実況であればどのゲームでNo.1になるのか、そのゲームでもどういう遊び方でNo.1になるのか、というところまでニッチの中のニッチまで深堀りして、そのジャンルでは確実に視聴者の満足度が得られる動画を作る、というイメージです。

ここで、なぜそのYouTubeチャンネルを開いたのか、という前提条件によって話が分岐していくのですが、もし、単に趣味で自分が好きなことを発信してアーティストとして表現するということであれば、こうした逆算的なロジックはぜひ参考になさらないほうがいいです。逆に、シンプルにジャンルはある程度幅をもたせていいのでとにかく人気を出していきたいということであれば、このマーケティング的な手法とは相性がいいと思います。

■ チャンネルを育てるために考えること

次に考えたほうがいいのが、YouTubeチャンネルが育つまでのスパンです。2のケースでは私は最低でも1年の覚悟が必要と考えリソースや予算を組むべきと考えています。実際取り組んでみて分かったのは、YouTubeの動画の満足度を測る評価の仕組みは、「慎重すぎるほどにじっくり」と判定されていきます。1日毎にちょっとずつ、そのジャンルに興味がある視聴者にとって最大満足度を与えられるような『ジュース』の配り方をしていくので、(よほど賞味期限が短い動画は別にして)その動画1本のポテンシャルを最大限発揮するまでには、特にチャンネル登録者が少ない初期はこれまでのインサイトからも少なくとも1ヶ月以上はかかると考えられます。初期は満足度が高い動画を作るのはなかなか至難の業なので、試行錯誤と動画のポテンシャルの検証をしていたりすると、あっというまに3ヶ月、半年は経過してしまうのです(それに、なにより動画1本を作るのって企画から撮影から編集まで本当に大変)。

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さきほども紹介したこのグラフを見ていただければ、その『ジュース配分』の様子が分かります。この動画は公開から30日経過した2分弱の動画で高評価は1,000件超え平均維持再生率もいまも80%という、そのジャンルに興味がある人たちにぶっ刺さった”満足度の高い”動画になりますが、本当にジワジワと伸びていっています。毎日すこしずつ『ジュース』が適切な範囲/セグメントのファンに配られていって、システム的に制御されている様子がわかると思います。

■ 満足度の高い動画を作るには

『ジュース理論』を実践する上で、重要になってくる要素が、動画ごとの視聴者の満足度=「平均視聴維持率」や「高評価率」であることは前回お伝えしたとおりです。特に、「平均視聴維持率」をどう高めるかは、動画再生が伸びるロジックを解明したあとに必ず突き当たるところで、特に私のように演者スキルも編集スキルも足りていないと、維持率が下がるボトルネックを埋める=バケツの穴を塞ぐことが、まずは効果的だと考えます(余談ですが、先日動画撮影した際に、『悲喜こもごも』という単語がどうしてもキレイに発音できずリテイク10回した時には自分で自分を呪いましたw)。チャンネルを作った初期の段階では、いきなり満足度の高い動画を作れる一部の天才は除いて、多くのチャンネル運営者でも当てはまることだと思います。往々にして動画1本にかけられる予算や労力にも影響してきます。 

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そこで、私がこれまで作ってきた動画の中で、「平均視聴維持率」が上下しているシーンを振り返って、「動画内にこういうシーンがあると維持率が下がる(あるいは維持できる)」という項目をまとめてみました。正直、自分の過去動画を振り返るなんてソワソワしてしまってやりたくもないwですが、あとで誰か第三者にグサグサ言われるよりはマシという気持ちだけで心の中で泣きながらこれをまとめています。

 

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前提として、『パジちゃんねる』は50 - 60歳前後の方に支持されているちょっとレアなチャンネルなので、一般的には早口で情報と内容を詰め込んだほうが満足度が高いはずが、そうでもない、みたいな特殊な状況かもしれないので、あらかじめご了承ください。ここで伝えたいことは、PDCAを回す上でも、一定量の動画が溜まってきたら、このような秒数単位で出力されている「平均視聴維持率」を見ながら、何が良くて何が悪かったのかをしっかり振り返りましょうということです(でも自分が演者だとホントに嫌なもんですw)。

【維持率が下がっていたシーン】

・本題(=サムネイルとタイトルから興味を持ったテーマの内容・以下同)と関係ない自己紹介

・小難しいカタカナのキーワードや専門用語
・英語で話す(ワンセンテンスでも)
・動画の終わる雰囲気を出す
・本題に入る前の前置きが長い
・誰でも知っているあまりにも当たり前の説明
・本題と関係のない雑談が入る
・興味のない内容の説明
・本題のテーマから一見外れるような話の流れ
・言い間違え、話が詰まる(1秒ほどの間)
・説明がわかりづらく理解できない
・動画が終わりかけるようなまとめの説明
・「終了画面」が20秒など長すぎる

【維持率が上向き/維持できていたシーン】

・本題のキーワードが出てくる
・字幕テロップに普段ない色使いなどの工夫
・問いかけや共感を覚えそうな話
・境遇が似ているシーンを連想させる
・本題のテーマに関わる自己紹介や実績
・本題に関連したOne more thing=「(価値ある)おまけ」の説明
・あるあるネタ
・もう少しで本題に入りそうな口ぶり
・本題とするテーマをたくさんの人が興味を持っている説明
・動画の内容が低次元すぎず難易度として中級編という説明
・「ほとんどの人が知らない」「とっておき」など期待感を上げる言葉
・「危ないので対策しましょう」という危機感と対策のセット

 ということで、チャンネルのテーマやジャンルごとに改善ポイントはかなり変わってくるかもしれませんが、共通する部分があったらぜひ活用してみてください。個人的には「(価値ある)おまけ」のシーンが伸びるのは汎用的に使えそうかなと思いました。


■ 動画のサムネイルを深堀る
このパートではYouTubeチャンネルを始めると、みんなが気になる動画のサムネイルとクリック率/再生数の関係をざっくり検証してみました。

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動画クリエイターにあるまじき行いかもしれませんが、私の動画は検証のためもあり、動画サムネイルを検証のためにほぼ統一の背景画像にしていて、文字だけを変更してどんな変化があるかを確認してみました。

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上記のデータからは、「サムネイルのクリック率が高くても必ずしも再生数が伸びるわけではない」ということは確定的だと思われます。少なくとも数万回から10万回再生くらいの規模を狙うのであれば、サムネイル作成で頑張りすぎないでいいかも、という風に見えます。この結果を見る限りは、『ジュース理論』で分かってきている動画の満足度ほうが評価の比重が高いと思われます(YouTubeのビジネス構造上、動画の再生時間やエンゲージが広告収益にダイレクトに効くので当然なのかもしれません)。

その他、仮説も含めて、こんな動画のタイトルやサムネイルにはこんな感じの傾向があるように見えます。

・同じ画像で文字だけ変えてもクリック率は3%-6%程度幅がある
・再生数が伸びるとクリック率が下がる可能性あり(セグメントがゆるむから?)
・そのジャンルでホットなキーワードが入るとクリック率が高い
・専門的なタイトルになりすぎるとクリック率が極端に低くなる
・サジェスト候補どんぴしゃのキーワードがクリック率高い
・画像文字が長くても短くてもクリック率が高いことがある
・画像文字の内容が大事で画像の文字サイズはクリック率にあまり影響していない

もうひとつ有用なデータがあるので、こちらも共有します。私の『パジちゃんねる』の解説動画というジャンルでは3〜6%というレンジに収まっていました。

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ただ、上記のように、別ジャンルでは9%-15%という数値も出ることが確認できたので、例えば、サムネイルのクリック率が6%だから良い/悪いという判断は早計です。そのジャンルごとに違う可能性が高いため、もしサムネイルの改善に取り組むのであれば、ジャンルごとの基準値が違うことを覚えておいたほうがいいと思われます。 

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ちなみに、私は「サムネイル」について仮説としておいているのは、どんなにサムネイルのクリック率が高くても、動画の「実力」が足りなければエンゲージが薄い視聴者を呼び込んでしまって、逆にリーチ数の拡大や再生数に悪影響さえ出る可能性もあると思われるので、あくまで平均視聴者維持率や動画のエンゲージの動画としての「実力の高さ」が担保された上で、サムネイルのクリック率を上げるべきかと考えています。

 サムネイルだけ気合が入っていてクリックはされるけど、動画の中身がともなっていないと、急ブレーキがかかるというようなイメージです。CTRは高いのにCVRが低い広告バナーみたいな感じでしょうか。


■ リーチを伸ばす最適なサムネイルは?

上記で、サムネイルのクリック率は動画の再生数にはあまり影響がなく、動画の満足度が担保できない状態で下手に広く浅くクリックを集めてしまうと、逆に本来その動画が持つリーチや再生数のポテンシャルを抑制しかねない、というようなことを考察しました。そうは言ってもやはりサムネイルのクリック率は気になるという方のために、もう一段深堀りしたデータを共有します。

まずは、サムネイルの表示回数=インプレッション数について共有します。チャンネルによって差があると思いますが、『パジちゃんねる』ではデバイス別の視聴数はこんなシェアになっています(意外とパソコンが多いのはパソコンソフト中心のテーマだからだと思います)。

スマホ(携帯電話):50%
パソコン:30%
タブレット:15%
その他(テレビ/ゲーム機):5%
※インプレッション数のデバイス別シェア率、全期間で約600万回の集計

 次に、サムネイルが表示されるインプレッション数の比率=ジュース理論でいう「表舞台」はどこかなのですが、

ブラウジング機能:230万回/38%
関連動画:340万回/55%
YouTube検索:35万回/5%
その他(チャンネルページ/再生リスト):10万回/2%

このようになっています。

「ブラウジング機能(おすすめ)」と「関連動画」が圧倒的にジュースが溢れている(=インプレッション数を稼げる)場所になっていることが分かります。登録者が増えてくると、チャンネルページや再生リストからのシェアも伸びてくると思いますが、いかに「関連動画」や「ブラウジング機能」に多くのジュースが集まっているかが把握できると思います。ちなみに、私のチャンネルは未来永劫立てない可能性が高いですが、未知の舞台「急上昇」は、トップYouTuberたちを見ているとえげつないインプレッション数/再生数が保証されているように見えます。

 そして下記がもっとも大事な舞台別のクリック率です。

ブラウジング機能:3.75%
関連動画:2.44%
YouTube検索:5.08%

「YouTube検索」は狙ったキーワードに応じた動画の外見(サムネイル、動画タイトル、タグ、動画の概要欄)でセグメントしやすいため、相対的にクリック率は高く出ています。重要なのは、「ブラウジング機能」や「関連動画」といった表舞台に出た時に、クリック率が下がりすぎないことです。「表舞台」ではどうしてもセグメントが緩むため、一定はクリック率が低下はしかたがないと思われますが、インプレッションという『ジュース』が溢れている場所で獲得したジュースをこぼさずに、適切にグラスに注ぎ込むための存在が(クリック率にダイレクトに影響する)サムネイルや動画タイトルということになるわけですね。

動画のサムネイルや動画のタイトルは、1本の動画ですべて共通で1つしかセットできません。ただ、動画投稿後にも編集が可能なので、過去動画と比べて数字が芳しくない場合、「やり直し」が可能なのです。 

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上記画像のようにサムネイルのクリック率を舞台別に集計して、平均よりも悪いサムネイルや動画タイトルの修正を行うことで、的確な視聴者のセグメントにターゲットし直せます(よくニュースメディアで記事公開時とアーカイブ時でタイトルを変更するようなイメージに近いでしょうか)。

これは1本の動画を作る労力に比べればコストは低く済むので、動画のポテンシャルが発揮できていない時の『ザオラル』のような復活できるかもしれない呪文(笑)になると思います。

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ちなみに、サムネイルの改善において念頭に入れておきたいことがあります。上記のように舞台毎に表示サイズに特徴が違うのです。シェアが大きい「スマホ/パソコン」「ブラウジング機能/関連動画」のそれぞれで、どんなサイズでサムネイルが表示されているかを(画像参照)。実はサムネイル画像はパソコン版はかなり小さく表示されてしまうのですね。

「平均視聴維持率」をどう高めるかという視点で、サムネイルや動画タイトルに共通して考えておいたほうがいいのが、「視聴者の興味」と「動画の外見」と「動画の本題」をできるだけ一致させることだと考えてます。

具体的には、
視聴者の興味:検索キーワード、関連動画、関連の再生リスト
動画の外見:サムネイル、動画タイトル、タグ、動画の概要欄
動画の本題:動画の内容
などです。

YouTube上にアウトプットする表現において、これらをキレイに同じテーマや内容に統一し、最適な範囲まで絞り込むことが大事なのかなと。表現を適切に明確にすることで、維持率を下げてしまう「ノイズ」を除きつつ、動画のポテンシャル通りにリーチを伸ばし、最大公約数的な最適な範囲の動画のキーワードや内容を狙う、という両面のバランスを取るとイメージです。

各テーマやジャンルごとに「ジュース」の絶対量は決まっているので、より大きなジュースが溢れているキーワードやテーマまで「動画の外見」を広げてジュースの濃度を薄めないように。ようは欲をかかないように適切な範囲まで絞り込むという感じでしょうか。厄介なのは、サムネイル画像にしても、動画タイトルにしても、タグ付にしても「動画の外見」はチャンネル運営者が胸先三寸で適当に広げることができ、私なんかは欲に負けて「Zoomx中級者向きの機能」だけの解説動画なのに、主語の大きい「ビデオ会議」全体を取ろうとして再生が全然伸びず、みたいなことを繰り返していますwスタートアップ界隈で教訓じみて言われる「最初はスケールさせるな」という言葉が染み入ります。

そういった事も踏まえて私の現時点での考えは、(日本のYouTube独特らしいのですが)内容を示す文字入りサムネイルや動画タイトルの方向性としては、「主語を広げすぎず的確なセグメントに絞り込んだタイトルとサムネイルの文字を一致させる」ということの徹底が凡人が取るべき作戦なんじゃないかなと思います(もちろんこういう細かいマーケティング的な施策をしなくても突き抜ける素晴らしい動画や演者もいらっしゃるのでこれがベストと言い切るつもりはまったくないです、はい)。サムネイルの色味やデザイン性はチャンネルブランドを高めるもので、これはこれで別軸で考える必要がありますが、まずは視聴者を期待した本題と違う内容でがっかりしないように絞り込みが大切かと思います。

 
みなさまのお役に立てましたらこれ幸いです。
それでは今日はここまでここまで、バイバイバーイのバイ!

 

人生最高のゲーム攻略体験:横井顕&ホーク爺とのダビスタ&FF11冒険記

前回、YouTubeの攻略的な記事を投稿したら、わりとマニアックな記事にも関わらず、Twitter経由で1万セッションも記事を見てくれた人がいて、本当にありがとうございます。Facebook上の友人からも熱量の高いメッセージやシェアやコメントなどを数多く頂きました。その中でも、以前よりお世話になっている株式会社はてなでインターン後に、スタジオジブリで鈴木敏夫さんと共に働かれている佐藤譲さんから、初対面の時に話をさせていただいた、学生時代にダービースタリオン(以下、ダビスタ)の攻略で攻略本ライターにスカウトされたという話を覚えてくれていて、今回のYouTubeの攻略的記事を「『ダビスタ』の配合理論を解き明かそうとする安宅さんの姿が重なって、アツかったです!!」と紹介いただきました(お繋ぎいただいたのは、2年間近く一緒に開発合宿を共同開催していつも良くしていただいている「ボケて」他たくさんの有名プロジェクトを手掛けているイセオサムさんです)。

 

その紹介投稿をありがたく拝見して、ふだんあまり過去を考えたりもしないので、懐かしいなと思いつつ、そういえばダビスタの攻略も楽しかったけど、私的に人生最高の攻略体験をしたゲームって「ファイナルファンタジーXI(以下、FF11)」だったよなと、ふと思い出したのです。

 

書いているうちに楽しくなってしまって、長い思い出話になりますが、時間があるときによろしければご覧ください。

 

 

 

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「FF11」はシリーズ初のMMORPGで、「廃人」や「社壊人」という言葉を生み出すくらい、熱狂的な人気を集めていたゲームで、ダビスタのヘヴィプレイヤー界隈でもまたたく間に広まったのでした。その中心にいたのは、ダビスタPS版の時に最強馬の一頭としてあらゆる雑誌や大会で優勝しまくっていた「トレプチェット(父ブライアンズタイム・母父ダンチヒ)」の生みの親、ぎゃるそん氏でした。ぎゃるそん氏は、「FF11」でも一つ鍛え上げるのにも年がかりの苦行をともなうレリックウェポンを1人で2つ完成させるという離れ業をやってのけたのですが、ダビスタプレイの異常さを知っていた僕らからすると、「まぁそれくらいはやるだろうなぁ」という、遠く細い目で眺めていたものです。

 

そんな彼が定期的に主催していたダビスタ合宿で、「事件」は起こりました。全国から集ったダビスタ猛者たち50名近くで、山中湖の宿泊所で飲み会&ゲーム談義をして過ごすという、年1回の至高の時間。この宴に、あろうことか主催者なのに、「FF11」をみんなに布教するという会に切り替えて、「まだβ版だけどこれはめっちゃ面白いから一緒にやろう」的な強烈な勧誘をしてきたのでした。ただ、まだ誰も本格的な体験がしたことのないMMORPGの「FF11」のプレイ画面を観せられた時点で負けでした。始まりの街・バストゥーク共和国近くのツェールン鉱山でガルカという巨体の種族でミッションを行うシーンだったと思います。

 

(これは・・・面白そう......。)

 

貧乏学生の私は「FF11」を遊ぶためには、PS2本体とソフトと何万円もする外付けハードディスクを購入し、しかも毎月月額費用を支払うという出費に躊躇したものの、ダビスタマニアが薦めるゲームにハズレ無しということで、まんまと「地獄の沼」に足を踏み入れるのでした。気付けば、その会に参加していたけっこうな割合の人がUnicornサーバー(最盛期「FF11」の20個近くあるサーバーのひとつ)に集うことになるのです。

 

・・・

 

時を前後して、私はダビスタのセガサターン版で初出の配合理論、「考えた配合」というロジックをたまたま解き明かしてネットに公開したところ(当時は「さるさる日記」というところがダビスタマニアの巣窟で日記の上位を独占していた)、前述のぎゃるそん氏が目ざとく見つけてくれて、「これすごいじゃん、横井顕とホーク爺に連絡してみようか?」と、あれよあれよという間に、ダビスタ全国大会優勝で一躍有名になった横井顕(当時、ダビスタを遊んでいた人で知らぬ人はいない)と、鋭い攻略で圧倒的なセンスを見せていたホーク爺の2人に直接お会いすることになったのです。

 

ダビスタといっても、20代の方はよくわからないかもしれないので、かんたんに解説してみると、競馬シミュレーションゲームの元祖で、アスキーのいち社員だった薗部氏が個人でゲーム開発して作られたソフトです。競馬の世界、特に競走馬を生産し、育てて日本ダービーに勝つというような箱庭ゲームを楽しむものでした。ところが、ダビスタIIに「パスワード対戦*」の機能がつくと、公式で全国大会が開催されリアル競馬場で大会を開いたり、当時のもっとも流行っていたメディア=雑誌で日本全国からのダビスタフリークを集めた月間大会が開かれるようになったのです。

 

* ドラクエIIに復活の呪文という「冒険の書」データをひらがな何十文字に暗号化する機能がありますが、それを競走馬の能力データに応用したようなイメージ

 

余談ですが、薗部氏はダビスタで儲けたお金で本物の馬主になり、GII(重賞)を複数勝利する馬運にも恵まれて漫画になりそうな人生を歩まれています。

 

毎月雑誌についているはがきに”手書き"でパスワードを記入し、大会に応募するという、いまだとありえないUI&UXでも、毎月数万〜数十万頭の応募があったのです。今みたいにネット対戦がない時代に、自分が生産し鍛えた仮想の競走馬同士を競わせるという先進的な取り組みは、「ストII」のような対戦格闘とは別の意味で熱き戦いが行われ、その界隈ではむちゃくちゃ盛り上がっていました(参考までに、ダビスタの全盛期はソフト200万本、攻略本が100万冊も売れる化け物コンテンツでした)。

 

ダビスタは個人で完全箱庭ゲームで楽しむこともできたので、この記事を見ている人のほとんどの方は、ダビスタってそんな深いゲームだったっけ?という方もいらっしゃるかもしれませんが、実は開発者の薗部氏が毎作シリーズの最新作を作るたびに仕掛けていた「新しい謎=新・配合理論」を解き明かし、「その作品の最強馬」を誰が作るか、というゲーマーの猛者たちがこぞって戦いを挑む歯ごたえのあるゲームという側面も持っていました。

 

配合理論は、ざっくりいうと、さまざまな血統の種牡馬と牝馬の組み合わせ(当時でも数億通り以上はゆうにあった)をどう組み合わせると、ゲームシステム上最高レベルの競走馬が生まれるかというもの。ダビスタは開発者の薗部さんがゲームシステム全般をつかさどっていることもあり、シリーズを重ねてもベースは同じゲームシステムを採用されていました。

 

年々研究が深ぼられ、ダビスタIII以降くらいからは、配合の組み合わせによって、その組み合わせで生まれてくるスピードやスタミナといった能力のポテンシャルの上限が決まっていることは、周知の事実となってきていました。

 

種牡馬と牝馬の組み合わせが間違っていると、絶対に『最強馬』が生まれないため、新作が出ると、まずは配合理論をいかに早く解き明かす第一フェーズを全国の猛者達がこぞって攻略します。最初に新理論を発見したグループは、その理論の証明と最強馬の生産者という称号を得るために、「同じ組み合わせを何万通りもリセットし直すスロットゲーム」に挑む、肉体も精神も追い込む修行的な戦いを余儀なくされました。

 

私が生産活動に極限まで頑張っていたときは、朝起きて食事・トイレも時間がもったいないので実家の二階の自分の部屋から動かずに、だいたい2分くらいの同じルーティン作業を1日あたり何回できるか、2台体制でいかにミスをしないかみたいな機械のようなプレイをしていた気がしますが、あまりにも大変すぎて記憶が薄いです(注:ノンリアルタイムのただのシミュレーションゲームですw)。たぶんこのレベルの戦いをしていた人、全国を見渡しても当時ヘヴィなダビスタプレイヤーの巣窟とされたニフティサーブの競馬ゲームフォーラムの数百名以内だと思います。

 

閑暇休題。

 

横井顕がダビスタIIの全国大会で優勝した「シルバイオー(父リアルシャダイ・母父ホリスキー)」は『牝馬10代重ね』という、当時としては画期的な攻略手法を編み出した人物。ダビスタIIは、ゲームの仕様上、種牡馬と牝馬の組み合わせは3代目以降、牝馬が生まれる確率は1%となり(これは現実から考えると不自然な仕様なのですが、牝馬が延々と生まれるとゲームバランス的に牧場経営が楽になってしまうため、薗部神のご都合主義で決まった仕様と思われる)、ほとんどの人は4代目以降の競争馬など目もくれなかったのです。

 

ただ、横井顕だけは違う考えを持っていました。この1%の中に最強馬への道がつながっていることを見出し、公式販売している牧場データをセーブできる「ターボファイル」を駆使しながら、1%の確率を突き進めて牝馬を10代目まで生み出すのです。

 

普通はここで攻略を満足しそうなものですが、続けて横井顕は、『60戦無敗理論』という競走馬の能力値を極限まで高めてくれる理論も駆使し(かつこれ以上、戦績=勝利を積むと能力値がオーバーフローして最低馬になる極限状態)、ダビスタ初の全国公式大会で圧勝するに至ります。天才性をほしいままにした横井顕(『牝馬10代重ね』の時点で誰もライバルはいなかったのに、その後の『60戦無敗理論』は編み出さなくてもいい次元だったのが笑えるのですが、彼はそういう人なのです)。

 

続くダビスタIIIでは、界隈きっての理論派・ホーク爺が躍動します。ホーク爺が提唱した多重インブリード+安定C種牡馬を組み合わせた理論を「サイキョウクラウド(父ノーアテンション母父リアルシャダイ)」という初期最強馬が発売直後に生み出され(これだけでも1冊本が書けるんじゃないかくらいのドラマあり。生産試行回数わずか50回で生まれたミラクルな馬)、その配合理論の基礎をつくったのがホーク爺でした(本人も「スルーザナイト(父ノーアテンション・母父レインボークエスト)」という名馬を生み出した)。

 

競馬やゲーム雑誌上で、毎週・毎月のように横井顕とホーク爺が雑談や攻略情報をやり取りをしながら進む対談形式の記事に、当時中学生だった私はとても刺激を受けて、「俺はこの人たちを超える最強馬を作るんだ!」と、毎日、「最強馬をどう作るか」だけを考えていのです。当時、中学受験をともに戦った横山という友人とともに、毎週のようにダビスタ合宿を開いて、夢の『最強馬』の誕生を夢見ていたのでした。ほんまもんのアホです。中学で数学教師の杉浦先生だけが、ダビスタをプレイしていて楽しさを理解していてくれて、統計・確率の授業はダビスタを用いてグラフを黒板に描いていてニヤニヤしてた記憶があります。

 

毎日ゲーム雑誌や攻略本を食い入るように見ては(後に知るニフティサーブも月額料金もかかるのでお小遣いも足りず高校生まで入れず)、この雲の上の人たちにいつか追いつくために「最強馬」「最強馬」と頭の中で呪文のように唱えていました(男子校の中学生って各方面でこんなもんでしょうw)。ちなみに、数年前にダビスタがドリコムさんによってスマホ版アプリでリリースになった時に、縁あって繋がりができ、当時のプレイヤーを集めた回顧座談会を行うという企画をさせていただきました(この座談会は、私が起業する前に、企画やサイト制作の初期から数年間立ち上げに携わった競馬SNS「ウマニティ」に話を持ちかけて実現したこともあり、点と点がつながるってこういうことなのかと、ジョブズに敬礼したい気持ちになりました)。

 

さて、そんな横井顕とホーク爺とぎゃるそん氏に囲まれて、気がつくと、「君がこの配合理論を解いたと聞いているよ、有望だね」「そうだ、君の発見した理論はまだ誰も発見していないので、攻略本で取り上げてあげるよ」「しかるに名前を載せてあげるから理論を詳しく教えて」私「なんか良さそう」と、10代の若人は30代の悪い大人たちにそそのかされて、解いた配合理論のまんまとすべて明け渡したのです。その後しばらくその配合理論「考えた配合」を解き明かしたということで、「パジは『考えた男』だな」というおだてられ、色々と楽しいお店に連れて行ってもらい、多少ちやほやされた気もしますが、単に無償で攻略ネタを提供させるためにそそのかされたような気もしなくもないという楽しい思い出です(わざと悪く書いていますが、本当はあそこで攻略本に取り上げてくれたからいまの人生につながっていることを大変感謝してますw)。

 

そんなこんなで、雲の上の人たちと仲良くなった私は、当時アルバイトとして、ダビスタ以外のゲーム攻略もしているので手伝ってほしいということで、あろうことか横井顕とホーク爺と一緒に攻略本チームとして働く幸運を手にします。これは当時のダビスタを濃く遊んでいた人だったら発狂してしまうくらいの環境でしょう。

 

そして、ダビスタと並ぶ歯ごたえのある「Jリーグサッカークラブを作ろう(通称:サカつく)」の攻略本などを手掛けることになるのです。チームの強さを表す六角形グラフをすべて張り付かせるという、「サカつく」シリーズをひとつでも遊んだことがある人なら分かると思いますが、理論上到達できるか分からないまま、攻略本の帯に「六角形グラフMAXの画像を使う」という無謀なミッション。”山頂があるかどうか分からない山に登頂する”という10xもびっくりなチャレンジを4,5回ほど任命させられたりしました。いまなら、ゲーム攻略本業界のパワハラと訴えてもいいくらいのきつい仕事で、あとで時給で計算したら200円だったことも(笑)でも、現代みたいにプロゲーマーやゲーム実況YouTuberも存在していない中、ゲームで遊んで収入があるなんて幸せだったんです。

 

ちなみに、この「サカつく」の攻略本は毎回500ページ以上(800ページ超えも)もあり、本が縦に立って、もし殺人現場にあったら凶器として疑われそうな狂気じみたデータ攻略本でした。「サカつく」も毎シリーズ300年プレイする伝説の男との連携みたいな話もあるのですが、とても書ききれないので今回はスキップします。仕事でゲームして、家に帰ってゲームして、ランチや晩飯でも一緒にゲーム談義して、ひたすらゲーム漬けの日々を送っていました。

 

・・・

 

そんな折、あれはおそらく新作ダビスタの攻略本をファミ通(エンターブレイン)から出版されたあとの打ち上げで、隣りに座っておられた当時の攻略本担当の偉い人から「君たち、FF11遊んでいる?」と質問されたのです。すぐに「めっちゃ遊んでますよ」「おお、いいね。あれ攻略本作るの大変だから手伝ってよ」という話に。「FF11」の攻略では電撃(メディアワークス)が先行していて、某サーバーに攻略スタッフがいたりして人気を博していたのです。いまは同じグループの会社になってしまいましたが、当日のライバル関係であったファミ通も、「FF11」でも存在感を示したかったのかもしれません。その後、正式にオファーがあり、代表のホーク爺がふたつ返事で攻略に取り掛かることになるのです。ちなみに、この攻略本の仕事を受けたことで、この後3冊のFF11攻略本を手掛けるのですが、そのFF11の世界でも各ダビスタプレイヤーは、最強馬生産に必須のスキル「根気S」を多方面で発揮して、レベルカンストは当然で、HNM(ハイパー・ノートリアス・モンスター)狩りの精鋭集団を率いていたり、職人スキルもオールコンプリート(1キャラ1スキルでなく、10カテゴリすべての職人スキル)して、サーバー内でかなり有名になるくらいの情熱をぶつけていました。

 

ようやく本題へ。この記事タイトルにあるように、人生最高の攻略体験をしたと思えるのが、この「FF11」で最初に手がけた攻略本「ヴァナ・ディール研究白書 Ver.031111」です。

 

趣味でやり込むくらいのゲームだったので、ベースの気合が違っていたのと、あらゆることに時間がかかるMMORPGであったこともあり、攻略サイトでも研究しきれていなかった基礎的な部分の解明が行われてなかったことなど、複合的な要因があり、攻略をするには最高の環境が整っていました。そして、隣には最強のプロジェクトメンバー、横井顕とホーク爺。私たちが「FF11」で解き明かした謎はいくつかあるのですが、その中でも、いまだに忘れられないのが『武器にあるD値と攻撃力/防御力と実ダメージ値の関係』という、モンスターを狩る時の基本となる仕組みの解明でした。

 

「FF11」は、日本発で日本で最初に流行ったMMORPGということで、プレイ中にちょっと気を抜くと、「遊びでやってんじゃねえぞ」という怒られるくらい、真剣に狩りに取り組むプレイヤーが出たり、昼間に働いているのに、深夜4時くらいまでHNM=レア中のレアモンスターを狩るために見張りをしたりと、ライトにゲームを楽しむ一般の人には理解できない世界が繰り広げられていました(いまもそうなのかな)。しかも日本人的な発想で、「パーティに入ったら迷惑をかけない=適切な武器防具を装備しないと狩りに行けない 」という一般常識も広まっており、このレベルになったらこの装備は最低限揃える必要がある、というテンプレ装備が紹介されるありさまでした。

 

しかし、そんなみんなが本気に取り組んでいる状況にも関わらず、実は「武器と防具によって底上げされる能力がどのように敵にダメージを与えたりダメージを受けたりするか」は、誰も解明していなかったのです。語弊を恐れずおおざっぱに言えば、当時はなんとなく、数字上、強い武器と強い防具があれば良い、そんな感じでした。武器の説明にあるD値が高ければいいのか、攻撃間隔が短いとどれくらい与えるダメージに有効なのか、攻撃力はどこまで高めればいいのか、STRやDEXやAGIといったキャラクター能力値は、攻撃ダメージにどんな影響があるのか、そういった基本的な部分がわからず、FF11の武器・防具のマーケットでの価格も、その時代には「ふんわり雰囲気」で決まっていたのです。

 

「FF11」の『攻撃』に関連するパラメータを並べてみます。

装備する武器には、D値、攻撃間隔、攻撃力、命中率が付加されます。また、STR、DEX、AGIなどのキャラクター能力底上効果、キャラクターのレベルと職業と種族に応じて、ベースになる攻撃力が決まっています。

 

一方で、モンスターにはどんなパラメータが存在するかは未知数で、唯一の手がかりがモンスターを調べた時に出る、「とてもとても強い、攻撃の回避率、防御力、ともに高いモンスターだ」だとか、「練習相手にもならない。 攻撃の回避率、防御力、ともに低いモンスターだ」といった、粗いメッセージでした。だけど、この内部数値に基づくメッセージを手がかりに、各パラメータがどのように「実ダメージ値」に影響していくかを割り出すことになるのです。例えば、数値が1ずつ攻撃力をあげていくように武器・防具を装備していくと、どこかの地点でモンスターのメッセージが「防御力」についてのメッセージが消えるのです。これは、攻撃力と防御力が釣り合ったためで、この時の攻撃力の数値がモンスターの防御力と推定することができました。

 

攻撃力/コメント

250 (コメントなし)

249 (コメントなし) ←ここがモンスターの防御力

248 防御力高い

247 防御力高い

 

などなど、すべてを解説していると途方も無い量になるので、大事なエッセンスだけ切り出して解説します。狩りをする冒険者にとって、敵であるモンスターへいかに大きなダメージを与えられるのかは、「脳筋ヒャッハー」でなくてみんなが気になるところです。どのように敵へのダメージが計算されているのか、ここを丹念に実験を重ねて導いていきます。

 

例えば、当時のレベルカンスト・Lv75のキャラクターに、D値100の武器をもたせ、攻撃力が300ちょうどで、いろいろなモンスターに攻撃をしてみます。

すると、格上のモンスターAには、51,55,57,33,45,60といったダメージが戦闘ログで確認できます。格下のモンスターBには、192,165,217,180,161,201といったダメージが戦闘ログで確認できます(数値は記憶の中のイメージ、以下同)。同じ武器を持っていても、ダメージ値が違うのはなぜなんだろう。「もしかしてモンスターの防御力が影響しているのかも」と仮説を検証していきます。

 

装備を変えて、D値100の武器はそのままに、攻撃力を350にしてみます。手持ちの装備だけでは足りなかったので、味方の攻撃力をアップさせる吟遊詩人の歌を歌って足りない分を補ったりもします。今度は格上のモンスターAには、81,83,102,96,75,80といったダメージが戦闘ログで確認できます。こうしたログを地道にまとめていくと、また別の仮説が浮かびます。「もしかしてD値はダメージの基準値なのではないか」。

 

計算式でいうと、「D値xX%=ダメージ」

 

D値を基準として、「自分の攻撃力とモンスターの防御力の差がプラスの場合、D値よりも高く出やすく、マイナスの場合はD値よりも低く出る?」「でも、攻撃力と防御力の差は一定のはずなのにダメージ値にバラツキがあるのはなぜだろう」「もしかしたら、実ダメージ値の出現は正規分布になっているのかも」「STRを上げるとD値が底上げされている戦闘ログも出てきた」「自分のSTRとモンスターのVITの差は基準となるD値に影響しているのかも」などなど、確度の高い仮説の上の仮説を積み上げていき、このパターンのときには、これくらいの実ダメージ値が出るはずというシミュレーションができるレベルまで戦闘ログを整理し、検証結果をまとめていきました。

 

最後に、このダメージのロジック(計算式)をいかに分かりやすく読者に伝えるかで、3人は考え込みます。最後、入稿の締切はとうに過ぎて連日の徹夜で疲労し疲れ切った脳でこんな冒頭の説明をひねり出したのです。

 

”「FF11」におけるモンスターに与えるダメージは、抽選箱の中に数値が書かれたボールがたくさん入っていて、攻撃のたびにボールをひとつずつつかみとって、ボールにかかれていた数値が与えるダメージになるようなイメージだ。抽選箱に入っているボールの中身は、相対するモンスターと自キャラクターや装備によって、数値が高くなったり、低くなったりする。具体的にはD値/攻撃力/STRといった......”



圧倒的なひらめきで鋭く鮮やかなゲーム内容の解明をしたということではないのですが、(少なくともゲーム世界では)最高の知性に囲まれて、チーム全員で圧倒的な情熱を傾けることで解明した攻略によって、その業界が全体的によりアップデートされた(たぶん宇宙の謎を解明するとかの根源的解明の超ちいさい版w)という快感を得た体験でした。

 

こんな牧歌的な時代の中、全国を制した最高の相棒らとともに、情熱がほとばしるほどの徹底攻略を仕掛けた僕らは、僕らが日常を過ごし、大切な仲間がたくさんいて、最高に楽しんでいたその世界「ヴァナ・ディール」を1mmほどは動かしたかもしれないと思えるこんな体験は、人生で何度も起こることでもなく、今でも大切にしたい思い出のひとつです。




ゼロから始めるYouTuber、動画がバズる仕組みを攻略(仮説『ジュース理論』)

今年の元旦からスタートしたYouTube、ひとつの動画が15万回再生されたり、YouTubeチャンネルから収益を得られる条件(登録者1,000人以上、再生時間4,000時間以上)をクリアして、色々分かってきたことがあるので、あくまで仮説ですが、書き出してみようと思います。ちなみに、1,000人&4,000時間突破までにだいたい100日間掛かった計算になります。思い出すだけでもつらい笑

 

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気合い入れて書いたので、長文につき、お時間あるときにぜひゆっくりご覧ください。

 

 

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■ 視聴者という「大量のジュース」
YouTubeの視聴への動画のレコメンドの仕組みは、私が考える仮説が正しければ、とてつもなく上手くできている仕組みだと思います。YouTube側の視点からは当然のようにも見えるんですが、データや事象を見るにつれ、ぼやけていた輪郭がハッキリしてきたような、そんな感じです。

演者であるチャンネル運営者はYouTubeから支給される大量の「ジュース」を大量の運営者同士で奪い合う過酷な競争に毎日さらされています。「ジュース」の取り分は、動画の満足度を見極めるロジックよってシステムで自動的に振り分けられていて、YouTubeのビジネスモデルの収益源である動画視聴時間と広告再生数に直結する形で、運営者を自然と導いている形になってます。

 

■ 「ジュース」の振り分けロジック
このロジックが非常に優れていて、毎日のように”新規動画”という玉石混交の「赤ん坊」が産まれてくる中、選りすぐりだけが視聴者の目に届くように、データに基づきスクリーニングされ、サッカー選手でいえばジュニアでデビューし、U16、U20などでの活躍を経てプロデビュー、その後日本代表、海外リーグでの大活躍のようなエリートコースに乗れるか、みたいな流れです。

徐々にハードルの高い新舞台で試され、そこでサバイブできたらまた次の上のステージへ、という流れでより多くの「ジュース」が獲得できる仕組みに見えます。

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特定のキーワードやジャンルごとの動画対して、毎日の視聴者の視聴時間=「大量のジュース」があり、そのジュースをどう各動画に振り分けていくかのロジックが、動画の満足度=動画の平均視聴維持率やエンゲージ(視聴あたりのポジティブなコメント数や高評価数や低評価数など)に応じて、毎日一定の割合を振り分けるシェア率が決まっていて、関連動画やブラウジング機能(おすすめ)、キーワード検索上の順位を調整して、より満足度が高く視聴時間が伸びる動画の再生数が毎日調整される仕組みになっていると思われます。

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もちろんフリークエンシーなども考慮されて同じ視聴者に同じ動画がレコメンドされ続けるのもちょっとされているとは思いますが、同じ視聴者は同じ動画を何回も最後まで見てくれるというデータも出ていそうで、その視聴者にとって一番長く観てくれる動画が常にレコメンドされている状態がプロダクトのUI&UXで保たれている、と考えられます。

投稿してきた各動画の推移を見ていると、その特定のジャンルやキーワードに対して、新しく満足度が高い動画が出現すると、毎日少しづつ多めのジュースを振り分けられ(これが非常にうまくできていて、ドンピシャのターゲットとなる視聴者から徐々に外側にいるすこしズレているかもしれない視聴者に輪が広がっていくイメージ)、その日ごと(あるいはリアルタイムに)新たな視聴者の満足度を測られ、そこでも一定の平均視聴維持率をクリアした場合、翌日もさらに新しい視聴者というジュースを増やしてくれ、クリアしない場合は、そのジュースの振り分けを絞られるという自律的な仕組みになっていそうです。

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■ 視聴者が伸びる『合格ライン』
新しい視聴者の視聴時間=ジュースが毎日増えていく基準は、その動画の内容・キーワード・ジャンルによって(競合する動画やチャンネルとの)相対的なものだと考えられます。

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15万回再生を稼いだ上記の場合、平均視聴維持率は初期は45%程度から始まり、そこから日を追うごとに加速度的にジュースの振り分けが増えていきました(下グラフ参照)。前日比120%ずつくらい増えていって、キーワード検索からブラウジング機能、さらに関連動画と、よりジュースが獲得できる表舞台へと変化していきました。

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ステージが変わるとセグメントやターゲットが緩むので、徐々に平均視聴維持率が下がって投稿から数週経ったいまは40%をかろうじて超えていて、マスに広がっていった分、満足度の平均は下降していっています。このターゲットごとにニッチからマスへのグラデーションがYouTubeのシステムが綺麗に分類、フィルタされていて、徐々に動画のスクリーニングの厳しさが判定できる仕組みを構築しているのは、驚愕せざるを得ません。

 

■ 『ジュース理論』を応用する

これを逆手に取れば、確実に一定量のジュースがある特定のニッチキーワードにめちゃくちゃ良質の動画=平均視聴維持率&エンゲージが高い動画を作って放置することで、チャンネル登録者0だとしても、検索→ブラウジング機能→関連動画のようなステップで徐々に動画が伸びると考えました。ということで、新しくチャンネルを作って0登録者+初投稿動画でどんな感じに視聴のジュースが振り分けられるのかを見てみたのが下記の画像になります。

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この実験で使っているチャンネルは、ニッチキーワードにめちゃくちゃ刺さる動画を頑張って作ったので(平均視聴維持率は55%超え)、動画の視聴数は時間をかけて一定ジュースの配分がなされるとは考えていました。

とはいえ、ここまできれいな右肩上がりの一次関数でグラフが形成されるとは思っていませんでしたが、この直線的な右肩あがりは明らかにシステムで制御しているように見えますね(計算式でジュースが振り分けられるので逆に上下の変動が少ない)

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上記は視聴数の内訳グラフです。登録者0なので、最初はどう頑張ってもYouTube内のキーワード検索経由でしか流入はないですが、徐々にではありますが時間経過とともに、動画が評価されて「ブラウジング機能(おすすめ)」「関連動画」からのジュース配分をもらるようになってきているのが分かると思います

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投稿した動画の平均視聴維持率のグラフです。その検索キーワードで辿り着く人は最後まで観たくなるような動画を気合い入れて作っているので、本体の『パジちゃんねる』では見たことがない55%超え。

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直近のデータ。このチャンネルは動画投稿時は登録者0なので、純粋に最初の良質と評価されている1本でそこそこ見られているチャンネルになっていることが分かります。
※小売やECやっている人はピン来るかもしれませんが、私はこの実験やデータなどを見ていて「単品管理の世界や」と思っちゃいました。画像は端折りますが、3,900視聴に対して高評価211件なので、約5%超えのエンゲージ率(この動画は低評価は今のところ0件)

他にもいろいろなグロースの方法はあると思いますが、少なくとも今回得られたデータから、(ひとつの成功パターンとして、)YouTubeチャンネルを育てようとしたら、

  • 初期はYouTubeのキーワード検索を狙う
  • そのキーワードで動画にたどり着いた人の気持になって、その人が最後まで観てもらえて「いいね」してくれる良質な動画を作って投稿する
  • 動画の尺やジャンルやキーワードにもよると思われますが、5-15分動画であれば平均視聴維持率55%超え&エンゲージ率5%以上だとグッド(ただ試してもらえれば分かりますがすごくハードルが高いです、いずれ動画の質をどう上げるかの分析もしてみたいと思います)
  • 動画が評価されるまでは(通常は)毎日少しづつジュースが振り分けられて評価を受けているので時間がかかる(YouTubeの評価はロジックはじっくり慎重に行っているといってもいいくらいジワジワ)
  • 検索キーワードから「ブラウジング機能(おすすめ)」「関連動画」と視聴ジュースが多いステージへステップアップしてきてからが本当の勝負、ここでも平均視聴維持率やエンゲージ率が大切

ざっくり言えば、良質な動画を作って投稿すれば、YouTubeのジュース振り分けの「神」が必ず見ていてくれて、ジワジワ実力であがってこれる世界なので、上記の条件に合致するような動画を作ることをKGI/KPIにすると成功率が高まりそうですね。

Twitter時代によくあったフォロワー獲得のためにリーチを広げるための広告費を投下しようというような企業的発想は、そもそも動画の平均視聴維持率が高いなら(よほど急激に認知を高めたい以外は)もったいないので、その費用があったら全力でコンテンツ制作費にあてたほうがいいと思います。

あと、もしかしたら、動画の投稿内容によっては初動を引き上げようと下手に既存メディア(ブログ/Twitterなど)でスポットの投稿を行ってしまうと、平均視聴維持率やエンゲージが悪く『神』に伝わって、本来もっていた動画のポテンシャルを失わう可能性も(経路別に判断していそうな気もしますが)ありそうで、「この動画を最後まで見てくれそうな層までできる限りセグメント」した上でリーチを増やすようにしたほうが良いかもですね。


■ 動画の「満足度」とは
そんな実験も混ぜつつ、本体の『パジちゃんねる』で動画を配信していく中で、最近、興味深いデータが出てきました。

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平均視聴維持率が34.9%と、私が出している動画の中ではあまり芳しくない率にも関わらず、視聴回数3万回超えと今現在も伸び続けている動画が出てきました。

注目は1本あたりの再生時間で7分を超えている点。この動画は1本で20分超えの動画で、ほかの動画の10-15分よりも長尺なのです。関連動画から60%超えといい露出ポジションを確保しているように思います。

ここからは私の推測ですが、ここ最近は常に近いテーマ動画を出している中で、この動画が伸びているのは1本あたりの再生時間が平均視聴維持率よりも好影響を与えていると思われます。 

考えてみればYouTubeの事業成長におけるもっともピンポイントな指標は、視聴者の目をほかの配信やコンテンツプラットフォームからどれだけ奪えたか、可処分時間のはずで、それは再生数や再生維持率ではなく、シンプルに再生時間と考えることができます。

YouTube事業全体の再生時間が伸びれば、それだけ広告を差し込める回数と時間が(視聴者のYouTubeへのロイヤリティやエンゲージを下げずに)増えるはずで、再生時間が軽視されるということはほぼあり得ないのですね。YouTubeからしたら動画配信者をこうした形で売上・利益に自然に誘導するのは至極当然のように思います(かつすごいのはおそらくは視聴者の満足度を下げないロジックにしている点)。

ただ、だからといって60分の動画を配信して仮に10分の再生時間が取れたとしても、維持率は16.6%であり、そのほか高評価・低評価、コメント(ポジティブ・ネガティブを自動解析)なども考慮されたとしても、今回みたいなヒット=3万回再生には到達できないはずです。

つまりまとめると、これまで平均視聴維持率が45%以上云々という話は例外もありえ、例えば20分動画なら35%近くでもエンゲージの高い動画として認識される可能性があるということかと思います。

大切なのは自チャンネル内ではなく、常に同じ関連動画の中で動画の満足度を競争にさらされていると考えると、同じテーマの動画だとしても動画の内容をもとに細分化されて、この水準に達した動画の競合がたまたまいなかっただけ、という仮説もありえます。

気になったのでほぼ同じ内容の別切り口の動画を作ったところ平均再生維持率37.7%で約6分弱という絶妙に微妙な検証にならない動画が完成してしまいw不発に思ったので、また近いうちにリベンジと思っています。分かっていても狙った通りの数値に着地させるような動画が作れないのがYouTubeというか番組作りの面白いところかもしれません。

ということで、ここまでを粗くまとめると、再生時間「も」意識して作ろう、そのためには1本あたりの動画の尺を間延びしない程度にすこし長めにしていくと良さそうというのが、トップ系YouTuberも見ているとそういう傾向にありそうと思った次第です。

ちなみに、尺が短い動画も別のチャンネルで試していて、これはこれで面白いデータが取れたので共有しておきます。

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34秒の動画で平均視聴維持率105%超え。この動画も時間をかけてですが、やはり順調に視聴数を伸ばしてきています。カウントの仕方が正確に分かってませんが、たぶん同じ人がリピート再生するとカウントに足され、この数値も競合動画と相対的に評価されるのだと思います。


■ 動画がバズる仕組み=相関関係を割り出す

最後に、動画を投稿しながら疑問に思っていたことを、(できるだけバイアスをかけないように)ピアソン相関係数を使って分析してみたデータを共有します。あらかじめ断っておかないといけないのは、バイアスをかけずにといいつつ、動画の本数が少ない中、再生数上位の動画が数値的にブレを生み出してしまったので、人為的に分析データから弾いたものであることをご了承ください。

まずは過去の同ジャンルの動画を一覧で並べて、1日あたりの再生数など、独自の項目をつくって、各動画をできるだけ横並びに比較できる状態にしました。※この時点では同一ジャンルの全動画になっています

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私が考えていた疑問は、
「高評価数が多いと再生数やインプレッションが伸びる?」
「サムネイルのクリック率が高いと再生数やインプレッションが伸びる?」
「平均視聴時間が高いと再生数やインプレッションが伸びる?」
「平均視聴維持率が高いと高いと再生数やインプレッションが伸びる?」
などです。

これらを、相関係数で計算してみた結果がこちらです。

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いまのところ「弱い相関がある」「相関がある」という形ですが、一定信頼しても良さそうなデータが出てきました。

興味深いのは、「平均視聴維持率」に加えて、再生あたりの「高評価率」は動画の「再生数」や「インプレッション数」に相関がありそうな結果となったことです。「平均視聴維持率」が高ければ「高評価率」も高まる傾向はあるのかもしれませんが、「高評価率」を高めるときには、その動画のポジティブなインパクトが必要で、この両面を追うことが、動画のスマッシュヒットを狙うために重要そう、ということが分かります。

ちなみに、この分析データからは、重要そうな要素や傾向は分かるのですが、どうやって数万〜10数万再生のヒットを飛ぶのかの謎は残ったままなので、むしろそれが知りたいいんだよ、と自分でツッコミを入れたくなりました。

キーワードや関連ジャンルなど大量のジュースが溜まっているところに、適切なタイミングで、相対的にエンゲージが高い動画を投げ込み、ジュースが溢れている表舞台に居座り続ける、ということをいかにたくさんの投稿動画で実現させていくか、という感じなのかな。うーんわかりません!w


■ 私が今YouTubeをしている理由
人は情報を消費する生き物で、制約がある段階では少ない情報でも満足してしまいますが、その制約が外れてくると、より大量の情報を消費する習性で、ダイエット中に一種カロリーの高いものを食べたくなる中毒のようなものかと思います。持論で、コンテンツの満足度とは喜怒哀楽のギャップによって生まれると考えていますが、このギャップは文字から画像、画像から映像と表現がリッチになるほど情報量が増えていき、喜怒哀楽のギャップ=コンテンツの満足度が高まるのです。

私はもともとライターの仕事をしていたことから、たぶん人よりも文字を書くことが苦痛ではないし、その特性を活用して、いわゆるブロガーとして活動していた時期がありました。当時、文字はデバイスやネットワークの制限がある中で最高の表現手段だったわけですね。そこからだんだんと画像主体のInstagramが台頭したり、短文中心でリアルタイム性を追求したTwitterにビジネスパーソンが集まったり、ブログはかつてに比べると限定的な使われ方になってきました。そして、デバイスやネットワークの制限が取り払われていくに従って、ネットなしの時代の覇者であるテレビに流れていたコンテンツや経済が、しだいにYouTubeへと流れできていきました。すでに動画サービスの中でも細分化され、長文ブログと短文Twitterの関係のように長尺YouTubeと短尺TikTokのような棲み分けも始まっていて、いよいよ世界の主体は動画へと動いていきました。過去にも、新聞→ラジオ→テレビのようにリッチなほうが(権威は別にして)主役になっていることは歴史も証明していることです。

そして、動画以上の表現は実は存在しなくて、この先にありうるバーチャルリアリティの世界でも3D映像の見せ方の違いということは、ここが表現としての到達点であり、ここから10年先を考えたときに、何かの情報発信の主役は動画(3D映像)となることは確定的です。

翻って、私は文字を書くのが好きだし、苦痛も人よりもないからこそ、時代が変化しているのを分かりつつも、そこに甘えていたのだと昨年くらいからヒシヒシと感じていました。そしていざYouTuberのような演者として自分自身をさらけ出してみると、いやはやあらゆるしゃべるための表現するスキルが足りてないことに愕然としたわけです。

初回の投稿は内容以前に動画に向かって話すスキルというのが決定的に足りておらず、平均視聴維持率が1桁台。再生数も2桁で、これだけたくさんの人に見られているYouTubeで存在し活動しているのに、ジュースは配られなかったのです。

これがバーチャルリアリティでも同じことが起こるとしたら。アフターコロナの世界では、よりその傾向が強まることは火を見るよりも明らかで、チャンネルや演者としての存在感が、今後のビジネスやプライベートな趣味も含めて、あらゆる面で求められる時代になると考えています。こうしたロジックを細かいレベルまで把握しておかないと、これから起こってくる変化の時にプロデュースやディレクションもままならないと考えて危機感さえ持っています。アプリでサービスを作るのにプログラミングができたほうが有利(できないとマズイ)、そんな感覚です。

実際に昨年からは多くのプロジェクトでYouTubeに絡む話がとても増えてきているほか、私がいまいるエンタメ系のコンテンツ業界ではものづくりのスキームがYouTubeの広告モデルによって大変化してくる兆しがあります。こうしたトレンドの中、YouTubeで一体いま何が起こっているのか、それは世間からは良い目で見られていない「好き勝手に生きているYouTuber」と斜めから捉えていてはいかんと、自省をしつつ、新たな潮流にワクワクもしているところです。

YouTubeを知っておかないとという理由で始めてみたんですが、途中から新型ウイルスもあって時代が急激に変化していることも考えてみると、あ、これはみんなやっておいたほうがいいヤツかもと思えてきて。テレワークできている方は、通勤時間で浮いた1-2時間でYouTubeアカウントを育てておくと、この先きっといいことがありそうだなと思います。FacebookもTwitterも最初の頃はこんなに必須になるとは思わなかったけど、これからはそこにYouTubeも入ってきちゃうじゃないかと思っています。

5G、VR/AR、withコロナ。
特にwithコロナ時代は、人と会うコストが膨大になる中、人と会わないでどう人柄やパッションを伝えられるかでいうと、中長期でTwitterを超える営業ツールとして確立されていくんじゃないでしょうか。

営業マンはリモートプレゼンのスキルとYouTubeのアカウントを育てて情報発信していくことに集中。すべてがオンライン化され映像化されるトレンドの中、営業もDXされるんじゃないかと。これは個人の希望がかなり入っちゃっている近未来予測ですが、足で稼ぐ営業のヒラメ筋ではないですが、近い将来、直接対面で会うとかも「嫌がられる時代」が来ちゃうかもしれないですね。

移動のコストがこれほどまでに高まってしまうと、郊外の広い家に引っ越して、仕事部屋の背景にグリーンスクリーンを立てて、髭ぼうぼうでもFaceRigでイケメンのオレで営業活動するとかも、ありえる世界が来るんですかね。

・・・と言いつつ、頭では理解するけど、やっぱ私は対面でコーヒー飲みながらカフェで雑談しながらゆるやかにお話ししたいなぁとも未だに思っちゃうんですよね。習慣を180°切り替えるのは、なかなかです。


長文を読んでいただきありがとうございます。いつまで演者でやるかはわかりませんが、しばらくは実地経験のためにYouTubeに住んでみるので、また定期的にレポートいたします。これを見てYouTubeもやってみようかなという方がいたら、お気軽にお声掛けください。それでは今日はここまでここまで、バイバイバーイのバイ!

 

 

「稼ぐヤツが偉い」から「社会を良くするヤツが偉くて稼げる」へ。トークンエコノミーが社会にもたらす10の可能性

ブロックチェーンの有力な活用方法のひとつとして期待される「トークンエコノミー」について、先日、国内外の企業と有識者が集まるイベント『b.tokyo』で登壇の機会をいただき、パネルディスカッションに参加してきました。

 

パネルで話しているうちに、色々とあれもこれも考えが出てきてしまって、話尽くせなかったこともあり、せっかくなので頭の整理も兼ねて、記憶が新しいうちに書き出してみようと思います。


・・・

 

トークンエコノミーが社会にもたらす10の可能性

 

インターネットで情報の移転がなめらかになったのと同じように、ブロックチェーンによって価値の移転もなめらかになっていくという前提に立つと、トークンエコノミーとは、『インターネット上に価値が紐付いた経済圏ができあがる』ということだと思います。

 

トークンエコノミーのモデルとしては、身近な例でいうと商店街がわかりやすいかもしれません。商店街で魚屋さん、お米屋さん、洋服屋さんといったお店ごとに人々に必要なサービスを提供して、魚屋さんは魚を売ったお金でお米や洋服を手に入れられる、そこで支払われたお金でお米屋さんは魚を買うことができる、といった人々の活動を通して、経済の循環が行われていくイメージです。

 

これまでそうした経済圏をインターネットを介して作り出すことは価値の移転をセットにするとさまざまなボトルネックがあり難しかったのですが、ブロックチェーンが広まるにつれ、そうしたボトルネックが解消され、徐々にトークンエコノミーの成功事例が出てきています。

 

トークンエコノミーが社会にもたらす可能性の中で、特に重要と思われることを列挙してみます。

 

  1. 事業やサービスをはじめる時に必須となる「資金調達」の領域に革命が起こり、トークンを通じて世界中の人々から資金調達が気軽にできるようになる、ICO・IEO・STO、さらにNFT(Non Fungible Token)を用いてクラウドセールを行う新しい調達方法も出てきている。いわばトークンエコノミーの発祥の地となるエリア。革命的であるがゆえさまざな課題が噴出したため、法整備などの対応が進んできている状況

  2. 参画するプレイヤーへのインセンティブ設計によって、例えば、大企業の肩に乗って事業を一気にスケールさせたり、これまでにないような熱量を持ったファンコミュニティの創造が可能となる。パートナーとの強力な共創関係をつくり出すことで、資金力やリソースのないスタートアップでも爆発的な成長を生み出し、これまでの常識では考えられなかったスピードでユニコーン以上の成功をつかむ企業が出てきている。実際にイーサリアムは4年で2兆円規模の時価総額を実現してしまった

  3. トークンを用いてストックオプションのような報酬設計が容易に行える。コミュニティやサービスの成功を参加者全体に還元でき、それにより、コミュニティを自発的に盛り上げる個人や、事業上シナジーがある会社を営業したり、自主的にイベントを開催するといった、熱狂的な活動が生まれる。SNSが発達した現代において、もっともマーケティングチャネルとしてエンゲージの強いファン主体の口コミを(サービス主体視点で)コスト負担なしで誘引できる。そもそもが参加する全員がファンであり、ステークスホルダーという、消費者と提供者という枠組みが融合したファンと企業の新しい関わり合いに発展させられる

  4. ビットコインのように、『運営』が存在しない(=中央がいない)サービスを実現できる。コミュニティにいるファンや企業など、関わるみんなで日々の運営を行い、サービスの維持・発展を推し進めていくことができる。例えば、フリマアプリを運営する時に必要な「運用」「開発」などを利用者自身に行ってもらうことで、『運営』が存在せず、余計な手数料を抜かれたり、コミュニティの意思が尊重されるような方針になりやすいなど、これまでになかったサービスの発展に繋がる。法人の垣根がとけていき、ひいては人々の働き方がより柔軟かつなめらかになる

  5. クラウドファンディングの仕組みがアップデートされる。これまでのクラウドファンディングがリワードの「消費」だとしたら、支援が投資になるようにリワードに「資産性」を帯びさせることができる

  6. みんながストックオプションのようなトークンの所有者となることで、参加者のコミットが高まり、コミュニティの意思が尊重されるようになる。そうすると、金銭的価値を生み出す活動だけでなく、人々に共感を与えるより本質的な活動ができるキッカケになる。これまでなら金銭的リターンがなく、企業や個人として取り組めなかった活動でも、そのコミニュティが是と認められるなら、そこに経済的価値が紐づくため、より人々のための活動が評価され、その活動によって生活ができるようになる

  7. 所属したい”国家(=コミュニティ)”を選べる時代になる。共通の価値観を持ったインターネットで共通の価値観を持つ人々が集まる”国家”に複数所属できる。生まれた時に所属する国が決まっているのはまるで「士農工商」のように不自由な社会であり、よりよい社会へアップデートされる

  8. 少子高齢化の日本のように、福祉や医療に税金を使われすぎると、未来ある若者にお金が回ってこない。共通の価値観を持つ人々が集まれば、”税金”が自分自身と同じ価値観で使われていくのでよりハッピーな社会が訪れる

  9. 起業家視点では、エクイティを汚さない調達手段となりえる。議決権を紐づけない形での調達が可能となる。また、2019年10月時点では日本国内でNFTによるクラウドセールを実施するには良い環境にある

  10. 非中央集権的な仕組みを突き詰めていくと、例えば、議会や投票をみんなで決めてスマートコントラクトに実装し、みんなが支持するルールに則って、コミュニティの意思決定がなされる。また、時代にそぐわないルールになったらそのルール自体も全体の意思で変更可能な仕組みも作れ、恒久的に運営できる。これが実現することにより、「人の下に人を作らない」、みんなが支持するシステムの元に「人は平等」になりうる

トークンエコノミーという言葉があまり馴染みがないこともあり、トークンエコノミーと聞いても、定義が広いふたつの言葉が組み合わさって、人が考えるイメージもバラバラな気がしています。ただ、トークンエコノミーが社会の何を変えてくれそうか、ということはブロックチェーンのプロダクトを作りながら見えてきたことも多く、こちらにまとめてみました。

 

私自身も株式の世界のスタートアップに身を置いている立場でありつつ、資本主義社会において、人々や企業はどう社会に貢献するべきか、という視点で物事を考えたときに、いまの既存の仕組みがベターではあれこそベストではないと感じます。

 

例えば、社会にとって人々の経済格差が広がることは、社会秩序を不安定にさせ、巡り巡って豊かさを享受している人々にも大きな影響を与えることは、人類の歴史を振り返ってみてもよく理解されているところだと思います。

 

そんな中、株式市場における資本家の要請は、出資している企業の短期的な利益追求であり、市場での評価もそうした企業や経営が称賛される風土ができあがってしまっています。

 

企業が将来にわたって発展していくための資本や利潤を生み出すことで、研究開発や先行投資につながり、次のよりよいサービスが生まれるエコシステムが循環されていくため、利益の追求それ自体は否定されるものではないことは明白です。

 

ただ、そうした強い企業によって過度な利益追求がなされた場合、業界構造として苦しむ企業や個人を増やしてしまったり、それに付随する労働者の豊かさを搾取している可能性さえあります。

 

また、それが長期間にわたると社会格差を広げるひいてはそうした豊かさを享受している会社や関係者に影響を及ぼすとしたら、いまの社会制度そのものを改善されていくことは、(仮に短期的に企業の利潤が減ったとしても)よりよい社会の実現に繋がっていくはずです。

 

こうした一部の会社が生み出した利潤が、これまでは還元されなかったもっと幅広い人々に還元することができるトークンエコノミーの考えは、中・長期視点で考えたときに、よりよい社会にしてくれる力強いパートナーになりえるのでは、と思います。

 

また、これまでの資本主義的価値観においては、社会にとって良い活動をしたとしても、金銭的リターンがないからと人々にとって本当に価値あるサービスが提供できなかったことも、コミニュティ単位でその活動が是とされることであれば、その本質的かつ社会にとって真に役立つ貢献を続けることを、金銭的リターンを紐づけで活動できるようになり、そしてそうした活動をしている人こそ称賛される本当のより良い社会が実現されると思います。

 

一言で言えば、これまでの「稼ぐヤツが偉い」社会から、「社会を良くするヤツが偉くて稼げる」に変わる、ということです。これって超気持ちいいですよね。

 

こと日本においても、いわゆる勝ち組・負け組の社会格差が広がっていることは、社会制度の新たなアップデートが必要になってきていると私は考えています。ここ最近の事件は「炭鉱のカナリア」なのではと危惧し、先日記事を書きました。

https://note.mu/hajimeataka/n/ned25740c6a63

 

トークンエコノミーの拡大と浸透が、人々の社会格差を縮めてくれることを期待せずにはいられないのです。